2024.11.04
深める札幌を拠点に20年以上活動する劇団、“弦巻楽団”をご存知ですか?
今回の記事では、「札幌の演劇文化」をもっと知りたい!多くの人に伝えたい!そんな想いで活動する「HBC演劇エンタメ研究会(通称“エンケン”)」会長、堰八紗也佳アナウンサーと、Sitakke編集部YASU子が、劇団の稽古場を取材しました。
劇団代表であり、俳優のみならず脚本家、演出家、講師など幅広く活動する弦巻啓太さんに劇団のこれまでや11月に控えた公演にかける思いについて、お話を伺います。
堰八アナ: 本日はよろしくお願いします。弦巻さんは現在48歳ということですけど、いつごろから演劇をスタートされたのでしょうか?
弦巻さん: 中学生の学芸会で、自分で台本を書き、演出をして、みんなで作品を作ったのが初めての演劇経験でした。高校からは演劇部に入って、本格的に創作活動に明け暮れていましたから、もう30年以上になります。
堰八アナ: 高校卒業してからは演劇一本ですか?
弦巻さん:大学に通ってたんですけれどしっくり来なくて、4年かけて挫折して、中退してます(笑)。一方で演劇は何人かの仲間で立ち上げた劇団(「ヒステリック・エンド」)に所属して本格的にやっていたので、その道で生きると決めていました。
堰八アナ:早くから劇団として活動されていたんですね。
弦巻さん:僕はもともと「劇団を作りたい」っていうよりも、「自分の作品」を作りたいっていう意識がすごく強かったんですよね。劇団を立ち上げる人って、一度は先輩たちの劇団で勉強して、仲間を集めて結成するケースが多いですけど、僕の場合は高校を出てからすぐに仲間内で(ヒステリック・エンドを)立ち上げちゃったんですよ。弦巻楽団は、そこを抜けて一度フリーで活動してから2006年に「本当に自分がやりたい演劇をやろう」と正式に活動をスタートしているので、早いようでいて遠回りしています。
堰八アナ: 理想とする演劇人がいらっしゃったんですか?
弦巻さん:80年代から90年代にかけて人気のあった多くの作品が話題となった鴻上尚史さんの「第三舞台」っていう劇団がとにかく好きで、中高生の時にあんなお芝居を作りたいってずっと思っていました。映画やドラマも好きで、高校生の時に見たジョン・カサヴェテス監督の作品や、野沢尚さんという脚本家さんのテレビドラマに影響を受けたところもあります。演劇はその舞台でしか生めない魅力がありますが、映画っていうのははじめから物語が完成されている、演劇でいうところのウェルメイド(※)な表現なんですよね。その魅力というのも大いに感じていました。
(※)ウェルメイド…できの良い、構成のしっかりしたという意味。巧みな脚本、構成で、ストーリーの構築が論理的にもしっかりとしていることを表す
堰八アナ: 今までの上演作品も見ましたが、ジャンルも幅広いですよね。
弦巻さん: はい、それがうちの劇団の弱いところで…(笑)。「この劇団はこうだ」って言い切れないんですよね。芸術性が高くて見た後にいつもモヤモヤしてしまうとか、エンタメに振り切っているとか、特色があるとお客さんにもアピールしやすいんですけど。
なんて言うか、僕は欲張りだから誰もが楽しめるエンタメとして作品を作りたいっていう思いと、演劇にしかできないこと、演劇の本質的な部分どちらもきちんと持っていたいんですよね。 そんな模索から、ちょっと実験的な作品に挑むこともあります。幸い、賞を貰ったりもしているので、一定の評価は頂いているのかなとは思いますが。
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