2024.10.30

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ひとりの夜の”あなた”と”あたし”を繋ぐ…「ラジオ」の魔力について語らせてッ!【お悩みコラム番外編#72】

コロナ禍のあたしとラジオ

ずっとラジオを様々な意味で楽しむ側だったあたしですが、音声で想いを届けることの大切さをはっきり知ることになったきっかけが、この数年内にありました。

それが、コロナウィルスの流行

すべての人に様々な行動制限がかけられ、外出することもままならなかった頃。
あたしが店長を務める飲み屋「7丁目のパウダールーム」は危機に晒されていました。
飲食店に申し渡された営業自粛の令。そのせいで、店舗を維持していくための十分なインカムの見通しもないまま、ただ時だけが過ぎていこうとしていたからです。

「7丁目のパウダールーム」(札幌市中央区)

そんななかでスタッフたちと考案し、みんなで一緒に始めたのがオンライン営業でした。
Zoomを使ったものからスタートし、段々と各種プラットフォームでのライブに切り替わりながらも、約2年にわたって継続。たくさんの方々に応援してもらいました。

HBCにはその様子を、コロナ禍下の飲食店の工夫のひとつとして、ニュースに取り上げてももらったのよね。あの時期のことはなかなか忘れられそうにないわぁ……。

そんなオンライン営業の一形態としてやっていたのが、実はラジオ風の配信。
コメント欄に寄せられる言葉をお手紙のように紹介したり、かけられる場合は好きな楽曲をジングルっぽく使ったり。
お店に来ることはできないけれど楽しみたいというお客さんたちと、一緒にあれやってみよう、これやっちゃおうよなんてアイデアを出しあいながら、番組作りに興じていたんです。

「7丁目のパウダールーム」公式YouTubeより( 2020/12/2配信【女装で配信営業】すその萎える夜よね【特別雑談配信】)

カウンター越しの時同様、よもや話や馬鹿話はそれはもうふんだんにしつつだったけれど。
コロナに関する必要な情報を、放送中に共有しあったり。
それぞれの自粛期間中の不安をみんなで打ち明けあって、エールをお互いに送ったり。

そんな風にして、視聴者との間、なんなら視聴者同志の間にまで、一種の「コミュニティスペース」が自分の音声から出来上がっていく。

その光景にあたしは、小さくない感動を覚えていました。
MCのトークさばきひとつで、その放送が今切ない気持ちを抱えている誰かにとっての、時に大きな希望となりうる。そんなラジオ配信の「可能性」を肌で感じられたのは、他者とつながることが決して容易ではなく、誰しも孤独を抱えがちだったコロナ禍だったからこそなのではないかと、今でも思っています。

あれからしばらくの時が経ち、人々の動きはかつてよりもはるかに活発になりました。
しかしながら、音声主体のメディアがもたらすコミュニティ形成の力には、変わるところがありません。

今取り組ませてもらっている「したっけラジオ」も、リスナーさんたち発信でハッシュタグ「 #てるラジ」とつける文化が誕生し、それをこちらでも応援するなど、すでに視聴者と制作サイドが電波越しに相互作用しあうかたちで、放送内容が作られてきていますよね。

声を通じてみんながつながりはじめていることを、メインパーソナリティーとしてもすごく嬉しく思っています。

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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