2024.10.28
暮らす住宅地や農地など、人の暮らしのすぐ近くで起きている、クマとの課題。
国全体で転換点を迎えている今も、浦田さんは、「当事者は地域の住民だ」と意識しています。
「実際に、そこにクマと隣あって暮らす人たちの気持ちというのが一番の大元に根っこにあってしかるべき。住民の方々の願いを叶えるために住民の方々のご協力を集約する先として、役場があって、担当者がいる」
酪農学園大学の佐藤教授は、野生鳥獣専門員について、「クマの専門知識を持ち、地域のことをよく知っていて、信頼関係のある人が役場にいるのは、ひとつの理想的な状況」と見ています。
①経験と技術を持ったハンターが減少している今、そうした人が安定的に雇用される状況は大切なこと
②捕獲以外の対策もすべて含め、日頃から地域のクマの生息数や被害状況を調査・分析し、どんな対策や普及啓発が必要なのか考えられる人がいることも重要
としていますが、浦田さんのように2つの役割を1人で担える人材を配置するのもよければ、それぞれの役割を複数人で担う形でもよく、地域にあった形が求められると話していました。
浦田さんにも、野生鳥獣専門員が全国のほかの自治体にも置かれるべきかと訊ねると、「それが唯一の選択肢ではない」とした上で、「専門員は捕獲能力があればよしっていうことではなくて、地域としての当事者意識のもとで、より一歩前に出て、汗をかいてくださる人という意味合いかなと思っています。その場の状況に応じて、地域の体制作りを考えていくというのが大事なんじゃないか」と話していました。
浦田さんはこれからも、「対策した結果として、どんな暮らしを私達は望んでいくんだろうかというのを、当事者である地域の方々と語らって決めていきたい 」と話していました。
連載「クマさん、ここまでよ」
※掲載の情報は取材時(2023年2月~202424年10月)の情報に基づきます。