2024.10.28
暮らす訓練は、具体的な課題をあぶり出し、率直に話し合える機会を作ったようです。
合間の時間に、役場職員と警察とハンターが、輪になって話す様子も見られました。
ハンターの一人は、「今回は6人もハンターがいたので、見張り役などを配置できましたけど、1人とか2人とかでやらなきゃいけない状況というのは多分、実際には多くある。今回うまくいったこと以上に、いろいろ課題というか考えなきゃいけないことがあるんだろうなというふうには思いました」と話します。
発砲不可の場所で、クマ役が茂みから一歩近づいてきた瞬間があったそうで、そうした至近距離で、銃以外のクマスプレーなどを使ったプレッシャーのかけ方も練習しておきたいと、具体的な気づきを話してくれました。
また、「クマがよく出る場所、過去に出た場所とかでこうした実地訓練をやって、きょうは『あの場所なら撃っていいよ』というのが、具体的に警察の方にもいる場所でハンターの僕らも理解できた。そこで地形とか民家の位置関係とか法令とかを理解している鳥獣専門員の方が指揮をとってくれてるってことが重要 」と話していました。
ハンターも考えさせるほどリアルな動きを見せたクマ役は、実は専門家が務めていました。
酪農学園大学の伊藤哲治講師です。
ハンターの動きについて、「野生鳥獣専門員がいるので普段のコミュニケーションがとれてるし連携がとれている。クマから見てもわかるくらい」と高く評価していました。
終了後には全員が円になり、警察や振興局、近隣市町村もそれぞれの学びを語り合いました。
訓練の様子を間近で見ていた住民は、「自分たちが住んでいる村の中で、クマが出没したときにどういうふうなプロセスで駆除しているのか疑問を感じたので参加しました」と話していました。
専門員を置き、村のクマ対策の先頭に立つ役場。
そして役場任せにせず、課題に向き合おうとする関係者や、住民たち。
専門家の伊藤さんは、最後に「一般の方々も、『ここはちょっとヤブがあって、きょうの訓練でクマがすごく隠れていた。もう草を刈り払っちゃおう』などの気づきもあったのでは。クマがいづらい環境、隠れにくい環境を作っていくというのも一つそれぞれができる対策になると思います」と呼びかけていました。
浦田さんは訓練の成果について、「訓練のシナリオだけではなく、誰がどんなふうに取り組んでるかっていうことを見ていただけたことが関係機関同士の信頼関係を作っていくことに繋がっている。訓練一つでどうなるということではなくて、日常のやり取りも含めてきちんと積み重ねて、思いやりながら協力していくっていうことが大事なんじゃないか」と振り返ります。