2024.10.28
暮らす「いたいたいた!」住民が指さします。
「クマ目視できました」ハンターの一人が、無線で報告。緊張感が漂います。
茂みの中に潜むクマ………
に、見えますよね?
すごくリアルですが…この“クマ”は、中にヒトが入っています。
北海道・占冠村。道の駅のすぐ裏手に、クマが現れたら…
手加減なしの、リアルな訓練が行われました。
無線からは、ハンターと、指揮を執る役場職員の間で、こんなやりとりが聞こえてきました。
「確認ですが、現在も発砲不可の状況?」
「そうです。クマスプレーを持って」
ことしはクマが指定管理鳥獣に追加され、銃による出没対応にかかわる法律の改正も検討されるなど、国レベルでクマ対策の転換点に来ています。
だからこそ、地域に求められることがあります。
占冠村の取り組みから考えます。
連載「クマさん、ここまでよ」
現在の鳥獣保護管理法では、原則、夜間や住宅地での発砲が禁じられています。
そのため、クマが連日現れても追い払いを繰り返すことしかできず、被害が長期化したケースもありました。
そのため、クマが連日現れても発砲できず、2か月も被害が長期化したケースもありました。
7月、環境省の専門家検討会は、人身被害のおそれがあるときなどに、一定の条件のもと、住宅地でも銃を使えるよう緩和する方針をまとめました。
法律が変わったとしても、求められるのは、現場の判断です。
クマの生態にくわしく、地域の対策などにもかかわっている、酪農学園大学の佐藤喜和教授は、改正によりスムーズな対応ができるケースもあるのではと期待する一方で、こう話します。
「地域住民の安全を確保して、かつ事故のないような捕獲ができなくてはいけませんので、その判断を誰がするのか、責任を持って判断をするために必要な知識とか技術は何か、または事前に調整しておくべきことは何かなど、まだ課題は多いと思います」
また、どこで発砲できるかについて国が一律のルールを決めるのは難しく、地域の事情に合わせた対応が必要と指摘。
「いろいろな自治体で出没対応訓練などが行われるようになりましたが、そうした事前の協議をしておいたほうが、いざクマが出没したときに、スムーズな協議と判断ができるんじゃないかと思います」と話していました。