2024.10.29

みがく

小さく小さく再現した、あのころの駄菓子屋。

風音さんがつくる愛しきドールハウスの景色。

まずはこの作品をご覧いただけただろうか。横26cm×縦28cm×奥行き27cmのサイズで「あのころの駄菓子屋」を再現したドールハウスである。全体の骨組み、棚や台などの什器、そこに置いてある駄菓子やおもちゃなど、すべてが細部にいたるまでつくり込まれ、あまりの精巧さにため息がもれる。
 
作者は函館出身のドールハウス作家・風音(かぜおと)さん。作家歴は9年、本業の仕事のかたわらプライベートをほぼドールハウスの制作に費やしてきた。新作を発表するごとに商品見本となる作品をつくってインスタグラムとホームページにアップ。それをカタログがわりとしてオーダーを受けるという流れだ。

作者の風音さん。これまで本名で活動していたが、今回の取材をきっかけに心機一転。新しい作家名で、インスタグラムのアカウント名も変えた。

これまで制作したのはトータル187台で、中でも一番オーダーが多かったのがこの駄菓子屋のドールハウス。「おそらく20台はつくったと思います。これは自分用につくったもので、モチーフは子どものころに通った近所の駄菓子屋さん。的場町の学校近くにあった店で、やさしいおばあちゃんがいたのを覚えています。とにかくアイテム(商品)数が多いので、そこが一番たいへんでした」

目を凝らして店内を覗くと、紐あめ、カステーラ、モロッコヨーグル、ミルキー、粉ジュース、ココアシガレット、カルミン、ペロタン、どんどん焼きなどのお菓子類に、ソフトグライダーや怪獣カードやおしゃれセットなどが、あのころと同じように並んでいる。まるで当時撮影した店内写真を見るかのようだ。

peeps hakodate

函館の新しい「好き」が見つかるローカルマガジン。 いまだ開港都市としての名残を色濃く漂わせる函館という街の文化を題材に、その背後にいる人々を主人公に据えた月刊のローカルマガジン。 毎号「読み物であること」にこだわり、読み手の本棚にずっと残り続ける本を目指して編集・制作しています。(無料雑誌・月刊/毎月10日発行)

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