2024.10.16
深める約1年ぶりに訪れた2人のリビングは、テーブルや棚、ソファの配置が変わり、真ん中には赤ちゃん用の布団がひかれ、「子育てモード」に変わっていました。
そしてきみちゃんの腕の中には、目が大きい色白の赤ちゃんの姿が。
きみちゃんは赤ちゃんを腕の中に抱きながら、「(番組を見た人から)受けた言葉からは、いろいろと感じるものもあってすごく悩んだ」と正直に話してくれました。
「でもその中でも応援してくれる言葉もあって、そこに目をむけたときに『こういう家族がいるんだ』というところをしっかり見せて、しっかり育てていきたいと羅希が生まれたときにも、言っていたから」と、これからもまた取材を受けることについて、承諾してくれました。
2人と話し合い、取材中の赤ちゃんの呼び名は頭文字をとって、「みぃくん」と呼ぶことにしました。
きみちゃんは表情を緩ませながら、これまでスマートフォンや一眼レフカメラで撮りためた
みぃくんとの写真をたくさん見せてくれました。
ひときわ目を引いたのは、助産師が写したという、きみちゃんが初めてみぃくんを抱っこしたときの写真です。
写真の中のきみちゃんは、わたしがこれまで見てきた中で、いちばん優しい笑顔をしていました。
「めっちゃいい顔してますね!」と、思わず言葉が漏れ出しました。
新型コロナの感染拡大防止のため、きみちゃんが出産した病院では見舞いの制限があり、ちかさんがみぃくんを初めて抱っこしたのは、退院のときだったといいます。
ちかさんは、「幸せな生活を送っています、と報告したい。元気に育てていきたい」と正座しながら、改めての決意を伝えてくれました。
きみちゃんは手術で乳腺をとっているため、母乳は出ません。
ちかさんは、みぃくんのミルク作りを始めました。
「ミルクは交代交代で、でも自分はつくる方が多くて、飲ませるのはきみちゃんがやるっていう感じ」
これまでの取材では、料理は専らきみちゃんが担当していたので、ちかさんがキッチンに立って作業をしているところを初めて見ました。
「ミルクあげてみますか?」
きみちゃんはわたしに、みぃくんを抱っこさせてくれました。
哺乳瓶をうまくくわえさせることができずにいると、きみちゃんが手を添えてサポートしてくれます。
みぃくんは大きな目で私を見つめながら、一生懸命ミルクに吸いつきます。
同時にみぃくんの右手は、まだ座っていない首を必死に支えるわたしの小指を、ぎゅっと握りしめていました。
みぃくんの力は、わたしの想像をはるかに超えた強さでした。
ちかさんは私に代わって、デジタルカメラをまわしてくれていました。
「どうですか?」
ちかさんに質問された私は、思わず「生命力を感じます…」としみじみと答えました。
きみちゃんもちかさんも、慣れない赤ちゃんの世話に戸惑う様子を見て笑ってくれました。