2024.10.15

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「赤ちゃんの心臓が止まってました」こころが男性どうしのふうふが抱えてきた思い【忘れないよ、ありがとう④】

子どもが大好きで自分の子どもがほしいと思ったけれど、女性のからだを使って妊娠することに葛藤があったこと。妊娠して産むと決めたけれど、変わっていくからだに自分が耐えられるか、不安で押しつぶされそうになったこと。メディアに出た後、SNSで「中途半端」だと言われたこと。

「世間から、父親と母親っていう概念がどうとか、子どもがいじめられるとか、子どもがかわいそうって言われていた。そんなことない、そんなことさせない、そうじゃないっていうところを、ちかさんと見せていきたいと思っていた」

きみちゃんは、初めてわたしの前で涙を見せました。

羅希ちゃんがおなかの中にいた時間には、決してつらいことばかりではなく、うれしい発見もあったと、きみちゃんは何度も話していました。

「病院は特別っていう雰囲気を出さずに接してくれたのがありがたかった」
「自分のからだの変化は葛藤すると思っていたけど、子どもに会えることを考えるとネガティブにならなかった」

羅希ちゃんの棺に添えた、家族写真

きみちゃんは、当面、からだを男性に近づける治療は再開しないと決めました。子どもを産み、ちかさんと育てていく将来を、具体的にイメージできるようになったからだといいます。

「もし次の子どもが産まれても、羅希がいたんだってことを伝えて、自分たちの中で存在を絶やさないようにしたい」

ちかさんも「長女っていう存在で心の中で生き続ける。次の子が産まれても、羅希との経験は伝えていこうと思う」と、噛みしめるように話していました。

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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