2024.10.15
深める2021年12月27日。次の取材はいよいよ年明けの出産だなと思いながら、わたしは年末の休暇を友人とカフェで過ごしていました。
「年が明けたら、安産祈願の初詣に行くのはどうかな?」
「生まれた瞬間の撮影も病院に頼まなくちゃ……!」
幸せな取材計画に、心が躍るような思いでした。
そのとき携帯電話が光りました。ちかさんからのメッセージでした。
「こんにちは。今日の健診で赤ちゃんの心臓が止まってました。急遽ですが、今日から入院します」
心臓が止まっていても、まだ動く可能性はあるのか、詳しく検査をしたら、動いていたという可能性もあるのか…突然の知らせに、息が詰まり、店の中のコーヒーとタバコの匂いで急にむせ返るように感じました。
すぐに店を出て電話をかけると、ちかさんは落ち着いた様子で、「これからきみちゃんに付き添って病院に泊まる」「きみちゃんは大丈夫です」などと伝えてくれました。
赤ちゃんは、亡くなったということ…?
はっきり聞けないまま、わたしは電話を切りました。妊娠・出産は、命を宿した本人も、赤ちゃんも命懸けだということを忘れてしまっていた自分に、気が付きました。