2024.10.13
深める2021年12月17日、34週の健診。札幌市内は大雪に見舞われ、街中には渋滞も発生しました。きみちゃんは車の運転を諦め、ちかさんとともに千歳市からJRと市電を乗り継ぎ、吹雪の中、病院にやってきました。
個室を見学したり、理想の出産について考える「バースプラン」を記入する紙を渡されたり、出産の日がどんどん迫っていることを実感する日でした。
赤ちゃんの誕生予定まで、およそ1か月。
「年明けには生まれるんだなって思いますよね」とわたしがつぶやくと、きみちゃんは「2人の時間も大切にしたいなって思います」と口元を緩めながら、助手席に座るちかさんの後頭部をちらっと見つめていました。
「2人」で過ごす、最後の年末年始。家族「3人」になる日を、2人も病院のスタッフたちも、少し緊張しながらも、楽しみに待っていました。
しかし、年越しを待たずに、2人は予期せぬ形で出産を迎えることになります。
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連載「忘れないよ、ありがとう」
文:HBC報道部・泉優紀子
札幌生まれの札幌育ち。道政・市政を担当しながら、教育・福祉・医療に関心を持ち、取材。大学院時代の研究テーマは「長期入院児に付き添う家族の生活」。自分の足で出向き、出会った人たちの声を聞き、考えたことをまとめる仕事に魅力を感じ、記者を志す。居合道5段。