2024.10.12

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「正直、戸惑った。でも…」こころが男性どうしのふうふが、授かった命 【忘れないよ、ありがとう①】

記者のわたしと、2人との出会い

わたしが2人に出会ったのは、2020年9月。Sitakkeの連載「てる子のお悩み相談ルーム」でおなじみ、満島てる子さんが店長をつとめるバー、「7丁目のパウダールーム」でのことでした。ちかさんは、ここで働いています。

右から2番目の白塗りメイクが、ちかさん。「面白い」と言われるのが大好きなちかさんは、時には動物、時にはアニメのキャラクターと、毎日違うメイクで店に立ちます。

わたしはこの日、てる子さんを取材するため、店を訪れていました。デジタルカメラを片手に撮影中、ちかさんを、きみちゃんが迎えに来るところに遭遇したのです。

ちかさんが出勤する日は、ほぼ毎日迎えに来るというきみちゃん。時計はすでに午後11時をまわっていましたが、きみちゃんはメイクを落とすちかさんを、てる子さんたちと談笑しながらニコニコ待っていました。

わたしは大学で、「貧困」「障がい」など社会的に不利な立場とされる子どもや、その家族について研究をしていました。研究対象について考えるとき、指導教官はよく、「『わたしたち』と『あのひとたち』で分けられない」と話していました。

たとえば、ある日突然、事故にあったら。けがをして体の自由がきかなくなり、仕事も失い、お金に困るかもしれない。

そう考えると、いま取材をして目の前にいる人は、「わたし」と切り離すことができない存在で、彼らが直面している問題は、彼らだけに関係がある特殊なものではない気がしてくるのです。

それは、ちかちゃんときみさんに会うときも同じでした。

これまで異性だけを好きになってきた人も、突然、同性を好きになるかもしれない。誰だって、ちかさんときみちゃんが向き合う壁に、いつ自分が突き当たるかは、本当のところわからないのです。

小さく会釈をしてお店をあとにする2人の後ろ姿は、とても素敵で、心がトクトクしたのをいまも覚えています。そこにわたしは、性別がどうとかに関係のない、あたたかい何かを感じました。

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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