さて、そんなキノマドが今週末の9月14日(土)と15日(日)、毎年恒例となっている札幌パルコ屋上での上映会「PARCO TOP CINEMA」を開催します。
テーマは「rainbow in the night(夜空に虹をかけよう)」。同日に開催される「さっぽろレインボープライド」の関連イベントとして、LGBTQにまつわる作品を上映します。
14日は橋口亮輔監督によるゼロ年代の名作『ハッシュ!』。当時の日本ではまだ語られることが少なかった同性愛カップルを題材にした画期的な作品で、クスッと笑えるユーモアあふれる会話が魅力です。
15日は性別適合手術を決意した少年と家族をめぐる『アバウト・レイ 16歳の決断』。シングルの母、破天荒なレズビアンの祖母とそれぞれ事情を抱えながらも互いを理解し、多様な家族のあり方を示したヒューマンドラマです。
キノマドは10年間さまざまな映画を上映してきましたが、近年はある基準を設けています。それは「世界中のみんなが見たら、きっと世の中が良くなる映画」です。
実は僕自身、幼少時から「生きにくさ」を感じていました。恐ろしく足が遅く運動音痴なおかげで、幼馴染みや同級生の男子には置いてけぼりを食らうばかり。お昼休みは体育館やグラウンドには行かず、教室で女子たちとおしゃべりしていたので、いつも「男のくせに」と言われたものです。おかげで大人になっても「置いてけぼり」という感覚が消えませんでした。
そのたびに救ってくれたのは、映画です。映画は、自分の目では決して見えなかった風景、行けなかった場所、得られなかった考えをフィルム通して見せてくれるもの。Sitakkeの連載タイトルを借りるなら「こう生きたっていい」と教えてくれる存在です。
今回の上映会も誰かに「いいんだよ」と、そっと支えてくれる会になると信じています。誰かの心にあるモヤモヤが晴れて、虹がかかりますように。長身で痩せ型の、そこそこ運動ができる風の男を見かけたら、ぜひ声をお掛けください。