2024.09.08
深める北海道の食を深堀りして、その価値を考えるシリーズ「食の未来を考える」。
【連載】「堀内美里の言いたいことは山々ですが」で山ごはんレシピを日々模索中の、HBCアナウンサー・堀内美里が大学時代から愛してやまない、思い出の味にしてちょっとクセの強い郷土料理「なんこ」を取り上げます。
「なんこ」は空知地方、「日本で一番小さい市」歌志内市で親しまれてきた郷土料理。
その原材料は、「馬の腸」!
味噌としょうがを効かせてじっくり煮込んだ料理なんです。
そんな「なんこ」は、まちの歴史と深く結びついています。
1948年のピーク時には、約5万人が住んでいた歌志内市。
当時、日本のエネルギーを支えていた石炭で栄えていました。
歌志内市の炭鉱作業を担ったのは、石炭採掘技術と共に秋田からやってきた炭鉱マンでした。
さらに一緒にやってきたのが、秋田で食べられていた「なんこ」だったんです。
馬は、当時炭鉱で荷物の運搬に使われていました。
作業中に命を落とすことも多く、弔いの意味も込めて馬の肉が食べられていたそうです。
「スタミナがつく」「馬力がでる」と言われていた馬肉料理。
歌志内郷土館の佐久間淳史さんがその由来の一説を教えてくれました。
「午の刻はちょうどお昼に当たる。その時に太陽が南を向いている、南向き、なんこうと呼ばれるようになった」
炭鉱マンは、酒を酌み交わしながら、なんこで栄養を蓄え、仲間との絆を深めていたんですね。