2024.08.20
出かける観察デッキや田んぼ、かつて人が暮らしていた歴史の跡など、見どころもたくさんの散策路。
でも、ただ歩いているだけの道中も、気持ちがいいんです。
暑い日も、日の光に照らされながらも緑の傘に守られて、涼しく感じられました。
セミや鳥の鳴き声、川のせせらぎを聞きながら歩く、ぜいたくな時間です。
特に知識がなくても、ただ自然の雰囲気を楽しめます。でもじっくり見てみると、次々に新たな発見があります。
今井さんが突然指さした木。上にカタツムリがいると言われて、しばらく探してやっと見つけました。
「サッポロマイマイといって、天敵が地面にいる虫なので、上まで登って逃げているんです。もう1種エゾマイマイという大きいカタツムリもいて、殻をふりまわして敵を追い払うすごいやつなんです。戦うカタツムリと逃げるカタツムリがいるんですよ」
中央にいるのが「エゾマイマイ」。殻の向きが2枚の写真で変わっているのがわかるでしょうか?
戦う様子は、ぜひ動画でもご覧ください…。
戦う「エゾマイマイ」だけではなく、逃げる「サッポロマイマイ」もすごいと教えてくれました。小さな体で、20メートルくらいの高さまで登っているのを発見したことがあるそう。
それぞれの生存戦略、どちらもすごいですよね。
突然立ち止まったと思ったら、「発見しました、鳴いているセミ」と草やぶの中をかき分けた今井さん。
すっかり葉の陰に隠れていたのに…。とにかく見つけるのが早いです。
「毎日森にいるからですかねえ」と笑う今井さん。「毎日のように知らないことに出会ったり、知っているつもりでもよく知らなかったりすることがあるんです。全然飽きないですね。季節によって変化もありますし…」と話しながらも、今度は私の肩に止まったセミを発見。
コエゾゼミ。鳴いているのはオスだけで、音を鳴らす「共鳴板」がおなかについているのがオスの特徴なんだそう。
30分ほど一緒に歩いただけで、ほかにもたくさんの「知らなかったおもしろさ」を教えてくれました。
今井さんは、「何もなくても楽しいと思ってほしい。何か見つけなきゃダメとか、クワガタがいないと楽しめないとか、そういう特定の目的を達成しないと楽しめない感覚じゃなくて、ただ歩いていておもしろいと思ってほしいですね」と話します。
今井さん自身も滝野すずらん丘陵公園で働く前は、特別な知識はなく、森を歩くうちに日々新たな発見に出会い、知識を深めたといいます。
「『知らないことってたくさんあったんだ』と思ってほしいですね。大人で知っているつもりになっても、ぼくもそうだったけど、『こんなに知らないことがあるのか』ってことを知ってもらって、楽しんでほしいです」
「滝野の森ゾーン」では、9月末までヒグマの謎解きイベントも開催中。イベントの詳細と、アクセスについては、以前の記事でご紹介しています。
⇒【謎解きイベント開催!「迷える親子グマと森の秘宝」】
滝野すずらん丘陵公園では、現在クマ対策を強化していて、この4年間はクマの侵入がありません。
どんな対策をしているのかや、対策に向き合ううちにもたらされた思わぬ「宝物」については、前回の記事でお伝えしています。
⇒【札幌市内に『野生の王国』があった!クマ対策がもたらした思わぬ「宝物」とは】
連載「クマさん、ここまでよ」
暮らしを守る知恵のほか、かわいいクマグッズなど番外編も。連携するまとめサイト「クマここ」では、「クマに出会ったら?」「出会わないためには?」など、専門家監修の基本の知恵や、道内のクマのニュースなどをお伝えしています。
※掲載の内容は取材時(2024年7月)の情報に基づきます。