こちらの素朴な風合いの縦笛、「ラブフルート」と呼ばれるアメリカの先住民の伝統楽器です。
その音色に魅了され北海道内外で演奏活動を行うほか、自ら製作も手がける北海道恵庭市の男性を訪ねました。
工房にやすりの音が響きます。
小野昭一さん(71)が作っているのは、「ラブフルート」と呼ばれるアメリカの先住民の縦笛です。
「木の種類によって響き方が違うので、どうなるのかなと…考えるというか、感じているというか」
優しい音に魅了され、演奏と笛の製作を始めて27年になります。
「木という存在の大きさに敬意を持つというか、僕らと同じように呼吸している存在だと思う。息を注ぐと木のほうが応えてくれる、まさに自然そのものと一緒になっている感じ」
小野さんの演奏には、「曲という概念はない」といいます。
「自分の息の風が、綺麗なものに変わる楽しみがあればいい。響きの中にいると、風というか、見えないが感じる不思議な世界がある」
自分がどこにいるのか。
何をしているのか。
そんなことも忘れるような、考えずにいられる瞬間。
小野さんはラブフルートを演奏するその時を「贅沢だと思う」と話します。
「心の奥から生まれてくる自分の思いが表せる」
小野さんは、東日本大震災のとき、被災地をめぐり、ラブフルートの演奏を行いました。
「皆さんの心が敏感になっていた」小野さんはそう振り返ります。
そんな場所へ、10年ぶりにめぐったとき…「きれいな音をおぼえています」と声をかけられたのだといいます。
「一生に一回きりでも、ずっと残っていくような響きとの触れ合いで、人との出会いもあるというのが大切なことのように思う」
小野さんはこれからも、北海道から人々の心を癒す音色を響かせます。
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2024年7月15日)の情報に基づきます。
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