2024.07.07
育む「性教育」と聞いて自分が受けたものを思い出すと、「生殖」や「性行動」に関することが多いのではないでしょうか。
いま教育の現場では、「性」を切り口とした幅広い学びに期待が寄せられています。
連載「じぶんごとニュース」
「いのち持ってきた人、手あげて!」「はーい!」
「じゃあどんな形してるの?」「丸!」「ハート」
札幌の保育園です。園児たちに向け行われているのは、「いのち」についてのおはなし。
講師の高杉ゆう子さんは、学校や自治体などからの依頼を受け、北海道内外で活動しています。
「お口とお胸とパンツをはくところのことを、プライベートゾーンって言います。心とつながる大事なところ。プライベートゾーン見られそうになったり、触られそうになったらどう思う?」
園児
「いやな気持ち」
「心でいやだなって思ったらどうする?」
園児
「『やめて』って言う」
「こころとからだはなかよし」、このメッセージは小さな胸にも刻まれているようです。
今、「包括的性教育」というものが注目されています。
養護教諭、いわゆる「保健室の先生」を目指す学生たちが行う、性教育の模擬授業です。
「お友達に勝手にキスをしてもいいか、〇か×か、どっちかあげてください」
「この人はちょうど半分で男性の心と女性の心が分かれていますが、男性の心が大きい人もいれば女性の心が大きい人だっています」
選んだテーマは、「プライベートゾーン」や「LGBTQ」、恋人同士で起こる暴力「デートDV」についてなど、多岐にわたります。
いわゆる「生殖」や「性行動」についてだけではなく、「性」を切り口に自分を大切にすることや、人権、人間関係などについて、広く学ぶことを目指すもので、文科省も学習指導要領の中で推奨しています。
家庭や地域など、外との連携の大切さを学生たちも実感しています。
自身も養護教諭である北翔大学教育文化学部の野口准教授は、「包括的性教育」は、時代のニーズを反映していると語ります。
「今までは物質的な豊かさをずっと求めてきた。今は実感できる豊かさの方が大切になってくる。人との関わりや人権、リスクを避ける、SOSを出せる、失敗してもて立ち直れる、それらを含めた力を、学校という教育の中でつけていくことが求められる」