2024.07.05
育む私は牛と馬の獣医師として、大学卒業から7年間勤めてきました。
診療依頼があれば、例え早朝でも、昼でも、夜中でも…
往診車に乗って牧場へ駆けつけ、現地で治療を行います。
ところで、牛や馬も人間と同じように風邪をひきます。
そんな感染症が流行る時期や、馬の出産シーズンには、早朝から夜までずっと現場を駆け回っていることも少なくありませんでした。
大動物獣医師には、犬や猫などを診る小動物獣医師の仕事内容と大きく異なるところがあります。
それは、「経済動物」を扱う点です。
お金を得るための手段として飼養されている牛や馬たちは、病気やケガによって治る見込みがないと判断された場合には、 淘汰 という選択がとられます。
シビアな考え方だと思われるかもしれませんが、これは酪農や畜産を生業としている農家さんたちを守るための大切な選択でもあるのです。
もちろん私自身も、厳しい選択を迫られる場面に多く立ち会ってきました。
しかし、一見シビアな家畜生産の現場にも、動物たちへの想いやこだわりが多く存在します。
無くなっていい命なんてない。
私たちの食卓に並ぶ牛乳やお肉、そして競馬場で活躍する馬たちも、たくさんの人の想いを背負ってそこに存在している。
そのことをお伝えし、少しでも知って、感じていただけたら幸いです。