2024.06.26
育む6年前の今くらいの時期、私はしめ切った部屋の中でただただオロオロしながら泣いていました。
「出産直後はアドレナリンが大量に出て、朝まで眠れなかったよ!」という話は友人から聞いていましたが、翌日朝になっても昼になっても眠れないのです。
24時間以上起きているのに…
病室の中で何度も我が子の呼吸を確認して、おむつが濡れていないか確認して、「よし、眠っている今のうちに私も仮眠しよう!」と思ってもまったく眠れない。
体は疲れ切っているのに、頭には次々と色々な不安が浮かんできて眠りにつけないのです。
ふにゃふにゃ泣く我が子を抱っこしても全く泣き止まないし、授乳もうまく出来ず、「授乳の仕方」が載っているタブレットをチラチラ見ながら抱き方を変えてみても思うようにいかない。
極度の睡眠不足で意識が朦朧として、自分が今起きているのか、夢の中にいるのはわからないような状態で退院。
青森の実家でこうちゃんとの生活が始まりました。
「家に帰ったらきっと子育てはうまくいくはず」
でも、私の場合はそう簡単には進みませんでした。
実家の居間は以前とは全く違う光景で、子ども用の布団に、おむつやおしりふき、おくるみ、肌着などが並んで「さあ!準備はOK!!赤ちゃんを待ってました!」という空間。
これは出産前、”プレママのための雑誌“を読んで、大きなお腹で私自身がワクワクしながら買ってきた物たち。
たった1週間前まで過ごしていた部屋に着いて、めまいがしました。
“産後の女性ホルモンの分泌量は急激に変化するため、それに伴って様々な体調の変化が起こります”
私が産前読んでいた雑誌にもきっと書いていたであろうこと、まさか自分の身にこんなにも激しく現れるとは夢にも思っていませんでした。
だから、きっと書いていたことについての、その備えはまったくしていませんでした。
家族のちょっとした一言に過度にイライラしたり、傷ついたり、急に悲しくなって涙が止まらなくなったり…。
ふにゃふにゃ泣いているこうちゃんを見ていると、責められているような気持ちになってまた涙が止まらなくなる。
それでも「私は母親になったのだから」「一人で何でもできるようにならないと」とムキになって、気が付くと笑顔を失っていました。
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