2024.06.21

深める

タンチョウ暮らす日本最大の湿原がソーラーパネルの畑に…環境への影響は大丈夫?

環境影響への調査は継続 法律での許可も

太陽光発電所の事業者はこう話します。

「建建設前に環境影響評価を実施し、建設後も環境影響に関する調査を定期的に継続しておりますが、いずれも環境に影響は出ていないとの結果が出ております」

さらに釧路町に実態を聞くと…

「聞いた話では、キタサンショウウオなどは適地へ移植をして、生態系を極力維持する姿勢を見せてもらっている。そうすると、なおさら町としても、法規制以外のものはなかなかできない」

実は、事業者に強い規制をかけられない現状があるといいます。

国立公園でもある釧路湿原は、自然公園法によって規定されていますが、保護レベルによって大きく3段階に分かれており、民有地と公有地が混在しています。

つまり、普通地域の民有地では、必要な手続きを行えば法律的にソーラーパネルの設置が可能なのです。

法律で許可しているものを条例で規制することはできません。

さらに、国は温室効果ガス削減の取り組みを進め、2050年には実質ゼロを目指しています。
 
そのため釧路町でも、役場の駐車場にソーラーパネルを設置したり、家庭での再エネ機器の導入に補助金を出したりと、ゼロカーボンシティの実現に取り組んでいる現状があるのです。

家庭での「再エネ機器」の導入を補助金で後押しをしている現状も

その一方で、HBCの取材後の5月15日、釧路町ではソーラーパネルを設置して欲しくない場所を示した地図を、“町からのお願い”としてHPに公表しました。

「ただこれも“お願いベース”にしかならないのが実態」と役場職員は話してくれました。

実はこの手法、別の自治体では意外と効果を発揮しているといいます。
それが、同じ道東の鶴居村です。

鶴居村では2022年1月から太陽光の条例を制定。
太陽光パネルを設置したい事業者が、村の窓口に来たときに「村として設置を控えて欲しい」と言えるようになりました。

太陽光発電所を設置して欲しくないエリアを公表した鶴居村では、工事の変更に応じる事業者も少なくないといいます。

もちろん素直に話を聞いてくれる事業者だけではありません。

釧路市環境管理係の佐々木敦史総括係長は「国が太陽光パネルの設置について、アクセルを踏み続けて推進してきたので、規制というブレーキも、しっかり実効性のある法令等の整備や仕組みを作ってほしい」と訴えます。

再生可能エネルギーの推進について、今一度立ち止まり、進め方を考え直す必要があるのではないでしょうか。

文:HBC報道部もんすけ調査隊
編集:Sitakke編集部あい

※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2024年5月17日)の情報に基づきます。

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

この記事のキーワードはこちら

SNSでシェアする

  • X
  • facebook
  • line

編集部ひと押し

あなたへおすすめ

エリアで記事を探す

FOLLOW US

  • X