2024.06.19
深める支配人になった以上は、もちろん業績を上げなければなりません。
当時の「すすきの交差点」は稼働率が75%未満…。
吉田さんがまず力を入れたのは「人員の安定」でした。
人の入れ替わりが続く中でスタッフが疲弊し、笑顔でお客さまをもてなすのは難しくなっていました。
100人弱いるスタッフにとにかく声をかけ話を聞く。
どんなに自分の仕事が立て込んでいても、「人」に関することは必ずその場・そのときに対応すると決めていました。
「人は待ってくれないので。1時間とか1日とかずらすだけで、問題点が変わっちゃうんですよね。だから即座に対応して、『人』のことには時間を割きました」
仕事が楽しいと思ってもらえることにつながるよう、いつも笑顔で対応し、人と向き合い続けました。
ホテルは年中無休、24時間365日いろいろなことが起こります。
しかも、ここは北の歓楽街、すすきののど真ん中。
それはもう、さまざまなお客様からさまざまなクレームが日々発生していました。
スタッフから連絡があれば朝も夜もなく駆けつけ、クレーム対応で何時間も頭を下げ続けたことも。
『何もわからない人が来た』『いつまで続くかな?』
最初のうちは、スタッフから試されるような雰囲気も感じたそう。
「立場は上でも、社歴は後輩の新人。そう思われるのも無理はありません」
それでも吉田さんが精一杯仕事に向き合う姿を、周囲はしっかり見てくれていました。
入社数ヶ月で体を壊してしまったときは、復帰後、皆がすごく気遣ってくれて「今まで大変な思いをさせてごめんなさい」と率先して動いてくれるようになりました。
「私のことを大変なことから逃げない人だと信頼してくれたのかなって。嬉しかったです」
それからもスタッフたちと正面から向き合い続けていくと、経営の面でもうれしい変化が。
客室の稼働率が向上し、就任時の75%未満から、コロナ禍前には90%台にまでなったのです。
「稼働率や売り上げの目標は、一人で頑張っても絶対に達成できなくて。自分と同じ方向を皆が見てくれるようになったとき、結果が出て数字にも現れるのだと実感しました」
そして、2019年には、全店舗の中から最も優れた支配人として表彰をうけるまでになったのです。
約10年間の支配人時代を振り返り、 仕事の魅力はやっぱり人 だと吉田さんは楽しそうに話します。
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