2024.05.28
深める作家・佐藤愛子さんは、1923年・大正12年生まれ。1969年に『戦いすんで日が暮れて』で直木賞を受賞するなど活躍してきました。
そんな「特別な人」にも、体や心の変化は等しく訪れることを、映画は無視せず描いています。
88歳で書き上げた長編小説『晩鐘』を最後に「断筆宣言」をしてからの、鬱々とした日々。
娘や孫には伝わらない、孤独。
その表情が、ストーリーが進むにつれて、どんどん変わっていきます。
90歳も、楽しく生きられる…
佐藤さんが怒りも快活に表現し、表情が豊かになっていくまでの過程からは、「特別な人」だけではない、誰にでも通じる「何歳でも楽しく生きるためのヒント」が伝わってきました。
90歳前後の方にとっても自分に重ねて観られるのかと思いますが、映画の中では、ある登場人物が佐藤さんに力をもらうシーンがあります。
映画全体が明るく、笑いながら楽しく観られるのに、突然泣けるシーンがやってきたり、深い余韻のある言葉が出てきたりします。
90歳・100歳まで続くかもしれない、これからの人生。
どう年を重ねていきたいか、どう生きていきたいか…
どんな世代が観ても、老後のためではなく、現代の社会を生きるために背中を押してもらえるような、メッセージ性を感じました。