2024.05.22
暮らすしかし、2023年6月にも、標茶町の牧場の敷地内で、乳牛1頭が死んでいるのを牧場主が見つけました。
乳牛は右の前足が折れ、腹部が裂かれていて、背中と肩の一部に食べられた痕跡がありました。
現場に残されたクマの体毛を鑑定した結果、「OSO18」による被害と確認されました。
2019年以降、確認されているOSO18による被害は、66頭目となり、32頭が死んだことになります。
自治体の担当者や専門家らは、対策会議を開いて、周辺に「くくりわな」を設置、捕獲する対策を試みることとしました。
7月末、道東の釧路市の隣の釧路町で、ハンターがクマ1頭を駆除しました。
駆除されたクマは、体長が2メートル10センチ、前足の幅が20センチ、推定体重は330キロほどあり、手足に皮膚病がありました。
駆除の報告を受けた釧路町は、念のためDNA鑑定を道に依頼し、その結果、「OSO18」であることが判明しました。
このときの取材で、クマの生態にくわしい、北海道大学大学院獣医学研究院の坪田敏男教授は、「人に対してどう対応すればいいか、十分に学習しているクマ。ちょっと変わったクマだった」と話していました。
クマはドングリなどの木の実が主食で、牛を襲うのは、珍しいケースです。
なぜ「OSO18」は、牛に執着したのか。
坪田教授は、「厚岸町や標茶町はクマが生息するにはいい環境ではない。食べ物がたくさんある森林ではなくて平地が広がっている。OSO18はかなり放浪して、自分の餌を食べられる場所を学習して、『牛を襲う』という新たな戦略を獲得してうまく生き残ってきた」と分析します。
第2の「OSO18」を生み出さないためには、どうしたらいいのか。
坪田教授は、「すべての放牧地を電気柵で囲うのは難しい。牛の放牧管理をきちんとするということで、何日かに1回は牛舎に収容するとか、毎日カウントするとか、きめ細かい対応は必要になると思います」と話していました。
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