2024.05.14
暮らす草刈りは、背の高い草を刈ってクマの通り道を遮り、住宅地への侵入や、人と突然出会って事故になるのを防ぐ対策。
徐々に札幌市内の各地域で開催されるようになってきましたが、ここ石山地区が先駆けでした。
その後、夏になると毎年開催。2023年で10周年を迎えました。
酪農学園大学の発表によると、草刈りを始めた2014年から2021年まで、この近くでのクマの出没情報はなくなりました。
おととしは石山地区での出没がありましたが、石山大橋を超える前の地点での目撃で、草刈りをした地点を通って住宅地に侵入したことは確認されていません。
クマが利用しづらい、いてもすぐに見つけられる環境を作ることができていると言えます。
参加者は、地域に住む人たちや、酪農学園大学の学生が中心。
年によって、その日開催される学会の参加者たちを招いたり、高校生が来たり、ほかの大学の学生が来たり、議員も来たり…ゆるやかに参加者を受け入れてきました。
ことしはあいにくの雨模様でしたが、それでも約40人が一緒に汗を流しました。
石山地区まちづくり協議会の副会長・寺田政男(てらだ・まさお)さんは、参加者たちに「クマのことを考えるうちに、駆除ありきじゃなくて、人間として我々がやるべきことをやっていかないとと思うようになった。クマも市街地に来たいわけではなくて理由があるわけだから、みなさんもゴミの問題や、山に入ったら食べ物おいてこないとか、ほんの注意が必要」と呼びかけます。
「10年、意外と早かった」と話す、酪農学園大学の佐藤喜和(さとう・よしかず)教授。
ここまで続いた秘訣を尋ねると、「『がんばりすぎない』のが大事だなと思っている。ひとつのイベントに労力をかけすぎると息切れしちゃうので」と話します。
草刈りの実施には、地域の人や学生たち、札幌市の協力が不可欠ですが、「持続」を意識して、事前の打ち合わせの回数は少なくしているといいます。
それぞれがやりたいこと・できることを持ち寄って、その年ごとの変化も受け入れながら、「ゆるく協働」を続けてきました。
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