札幌市の普通科高校を卒業した工藤さん。
卒業後は旭川市の歯科医院に勤めるも、2日で辞めてしまいました。
その後、弁当の盛り付けのアルバイトをしますが、ここも2か月で辞職。
どちらの職場にも、自身の障害のことは伝えていませんでした。
「障害あるない関係なしに働けると思っていた。でも、実際働いてみたら大変な部分が多くて…」と工藤さんは話します。
この、2度の挫折を経験し、工藤さんは自分の障害と向き合い、支援を受けながら働くことを決めました。
ハローワークで紹介されたのが、就労支援のパン店でした。
以前は障害を隠していたこともあり、周囲に悩みを打ち明けられなかったという工藤さん。
今の職場では、支援者と気兼ねなく話せるようにもなりました。
「今は周りの人に支えてもらっているから頑張れている」と胸をはります。
弁当の盛り付けのアルバイトをしていた頃は、1グラム単位にこだわり、納得するまで作業していました。
でも今は、こだわり過ぎず、心に余裕をもって商品整理を行えるようになりました。
入所以来、工藤さんを見続けてきたあおいSORAの佐々木正人代表は、大きな変化を感じています。
「入所当初は、緊張と不安で物静かなうえ、委縮しているような感じだった」と振り返りながら、
「慣れることで生き生きしてきた。チャレンジの心が出てきたのはうれしく思う」と顔をほころばせます。
工藤さんも、周囲からのサポートを受けながら働くことで、自分の障害への思いや働くことに対しての考え方に変化が生まれました。
「最初はあまり受け入れられなかったのが、受け入れられるようになって、最初と比べると本当に楽になりました」
そしてこう続けました。
「人よりも苦手なことがたくさんあるだけなんだなって」
自分の障害を受け入れられるようになった工藤さん。
経験をさらに積んで、一般企業への就職を目指します。
障害のある人が学校を卒業して民間企業で働く場合、その方法は大きく分けて2つ。
以前の工藤さんのように直接就職するケースと、ハローワークなどで紹介してもらい、就労支援施設で訓練を積んでから就職するケースです。
工藤さんは就労支援を受けているところですが、民間企業の障害者雇用枠で就職を目指しています。
北海道労働局によりますと、2022年6月現在、道内の民間企業で、障害者雇用率2.3%を達成しているのは51.3%です。
全国平均でも48.3%で、半分程度の民間企業がまだ達成できていない現状があります。
障害のある人を受け入れる企業が増えること、そして、そのサポート体制の充実も求められています。
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2024年1月24日)の情報に基づきます。
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