2021年7月27日、北海道・北東北の縄文遺跡群は「世界文化遺産」に登録されました!・・・とニュースで聞いたけど、「縄文って?」日本史の授業の最初に習ったものの、記憶がおぼろげな方も多いのではないでしょうか?
でも最近は、アートに造詣が深い俳優さんやミュージシャンなどに「縄文ファン」が増えて、興味を持つ方も増えているようです。そんな縄文の遺跡群が、北海道で2つ目となる「世界遺産」だなんて!そこで、ちょっとくらい知っておいた方がいいかも!というあなたのために、ちょっとだけ語れる、縄文のポイントをまとめました!
題して「にわかJOMON講座」!
約1万5000年前から約2400年前まで続いた時代。1万年以上に渡り狩猟・漁労・採集を生活の基盤とし、大きな争いもなく続いたことが分かっています。その間、世界史では世界四大文明が起こり、ピラミッドの建設が行われていました。縄文晩期はソクラテスが活躍し、古代ローマでは十二表法が成立している時代です。
土器の表面に縄を転がしてつけた縄目の文様のことを「縄文」と言い、縄文土器の命名由来は大森貝塚を発掘したエドワード・S・モースとされています。ちなみに当初は「縄紋」と書いたのだとか。
直火で焼く調理だけでなく、「土器」が出来たことで、人類は初めて「お湯」を沸かせる「鍋」を持てるようになり、獣肉や魚介類、木の実など食べられる食材が一気に拡大!作家の司馬遼太郎さんは縄文土器のことを「縄文人の胃袋」と表現したそうです。
そもそも『なにが世界遺産になるの?』かを押さえておきましょう。対象になる遺跡は道内6遺跡(入江貝塚+高砂貝塚で2遺跡)。各遺跡の特徴をワンポイントでまとめました!
キウス周堤墓群(千歳市中央)
掘った穴から出た土でドーナツ状の堤を造り、内部に複数の墓を配置したのが「周堤墓」。出入り口と考えられる切れ目のほか、墓標と思われる立石も見つかっており最大のものは直径約80m強。これは25人が1日1㎥の土を積んで約120日かかるという。堤の真下まで近づくと、 縄文人の膨大な作業量が実感できて感動!
●お問い合わせ
千歳市埋蔵文化財センター 0123-24-4210
北黄金貝塚(伊達市北黄金町)
北黄金貝塚はとても神聖な場所。火山灰で覆われた影響もあり、タイムカプセルを開封したような“極上の保存状態”で貝殻や獣骨がきちんと並べられて出土したという。一緒に人の骨も見つかっており、役割を終えた命に感謝し、その命を来世に送る「送り場」だったのでないかとみられている。
●お問い合わせ
史跡北黄金貝塚公園 0142-24-2122
入江・高砂貝塚(洞爺湖町入江)
現在伊豆七島など南国の海に棲むオオツタノハガイを使ったアクセサリー、北海道には生息しないイノシシの牙の加工品-。北海道内はもちろん、本州との盛んな交流をうかがわせる遺物が多数出土する縄文の「貿易センター」!一方で長期間介護されていたと推測される筋萎縮症を患った遺骨も発見されており、縄文人の家族愛が伝わる。
●お問い合わせ
洞爺湖町教育委員会 社会教育課 0142-74-3010
大船遺跡(函館市大船町575-1)
縄文前期から中期にかけ、千年以上続いた集落跡。100棟を超える住居群に加え、墓群や祭祀の場などが海岸段丘の上に形成されている。当時の拠点集落で、出土遺物は27万点に及ぶ。シカ肉や硬い木の実をすりつぶす時に使った膨大な数の石皿も出土、豊かな食文化をしのばせている。
●お問い合わせ
函館市縄文文化交流センター 0138-25-2030
垣ノ島遺跡(函館市臼尻町)
祭祀の場とされる「コの字形」の盛土遺構で有名な遺跡。長さ190m、幅120m、高さ2m以上の国内最大級規
模で、完成までに要した年月は約3千年!遺跡自体の存続期間も約6千年にわたり、今日明日に追われる時間感覚が小さく思えること必至。北海道唯一の国宝「中空土偶」は、同遺跡と同じ函館市南茅部地区の畑の中から出土している。
●お問い合わせ
函館市教育委員会生涯学習部文化財課 0138-21-3563
このほか、北海道では全道あちこちに縄文時代などの遺物や史跡が残されおり、わかりやすく解説してもらえるガイド付きツアーも実施されています。
詳しくは、JP01 2021夏号デジタルブックをご覧ください!