北海道LikersライターFujie:お二人とも、イチゴ栽培に興味を惹かれて猿払に来られたと思います。猿払村のイチゴ栽培の取り組みは、着任当時どういう段階だったのですか。
山口さん:私たちが着任するより前に、ある役場職員がイチゴ栽培をやってみたらどうだろうかと、提案したところから始まっていると聞いています。
夏にイチゴが国産で栽培されることはものすごく珍しいということで、そこに挑戦しようと動き出しました。着任時は、プロジェクトのまだかなり初期のころだったと思います。思っていたよりも、もっと根底のところからやっていかなければいけないんだなと感じていました。
山田さん:私たちの一世代上の先輩が最初から携わっているのですが、もともと酪農以外の農業が根付いていない地域ということもあり、本当にいろいろなことに関して、これから基礎を固めないといけないんだなと感じました。
北海道LikersライターFujie:最終ゴールから見ると、今はどのあたりなのでしょうか。
山田さん:うーん、感覚的にはまだマイナスじゃないかと思うぐらいですけどね(苦笑)
山口さん:そうですね。こういうプロジェクトの始まりから成功するまでというのは、本当にきっと10年、20年といったロングスパンで考えなければいけないと思うんですよね。私たち協力隊のたかが3年、されど3年という期間では、土台の中の土台を作っている最中だと捉えています。
ですから、最終的なかたちを必死に考えるというよりも、今自分が持っているスキルを精一杯生かすことで、それが誰かの助けになるとか、周りにいる人にとって意味ある活動になるというところを意識しています。自分の仕事をしていくことで、最終的に地域貢献に繋がればいいなという想いです。
山田さん:先ほど「マイナス」とは言ったのですが、今できることをコツコツやるということを私個人はとても大事にしています。
興味を持ってもらうために開いているイベントなどで、村民の方に喜んでいただけたり、想像していた結果通りになったりすると、少しずつ近づいているなと思えます。そういう経験を積むことで、たとえマイナスに感じる瞬間があっても、コツコツやればしっかり繋がっていくな、見てくれている人はいるなと思えますよね。最近ではそう思える瞬間も増えてきて楽しいです。
北海道LikersライターFujie:お話を伺っていると、お二人の北海道愛・猿払愛が垣間見えます。北海道や猿払の魅力を教えてください。
山口さん:一口に北海道といっても、地域によって違うところは結構多いですよね。これまでなじみの薄かった大自然や景色も多いです。千歳に住んでいたころには、こんなに日常的に鹿が見られることはありませんでした(笑)
山田:やはり九州出身の私としては、北海道全体の大自然は魅力です。九州とはまた違う大自然といいますか。北海道内でも、地域によって雰囲気がそれぞれ違いますよね。
食でいうとホタテと牛乳。とにかく質がいいものがとれるので最高です。あまり知られていないようですが、猿払産ホタテは『崎陽軒』さんのシュウマイにも使われています。景観では、CMにも使われたことのある『猿払村道エサヌカ線』はやはり良いですね。
北海道LikersライターFujie:お二人が感じる魅力をどのように伝え、猿払を盛り上げていきたいですか?
山口さん:私の惹かれた猿払や北海道の姿は、雄大な景色や大自然なんですね。ある意味では、人の少なさが魅力的だったんです。ですから、むやみやたらと人口を増やすような取り組みに走るのではなく、今あるこの大自然を存分に生かすかたちで、人と大自然の共存のあり方を模索しながら盛り上げていきたいですね。
山田さん:私も山口さんがおっしゃったように、自分たちの好きな部分を削ってまで行う活動は望ましくないですね。よくあるかたちで盛り上げたいというよりも、猿払ならではの良さをまた別のかたちの何かで盛り上げてPRして、こういう良いものがあるよと伝えていきたいですね。まだまだ模索しながら取り組んでいきたいと思います。
―――大自然とその土地に暮らす人々に惚れ込んで猿払村にやってきたお二人。その愛の強さは本物です。イチゴ栽培のプロジェクトとともに、今後の猿払村から目が離せませんね!
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