最近何かと耳にする機会が多くなった“地域おこし協力隊”。かくいう筆者も2023年春から宮崎県で地域おこし協力隊として活動しています。
そんな“地域おこし協力隊”ですが、各地域の実情に即し、多岐にわたる活動を展開しています。同じ協力隊という立場であっても把握しきれないほどです。
実は、北海道はこの“地域おこし協力隊”の隊員数が全国最多を誇るのです。各地の活動をつぶさに見てみると、興味深く、素敵なものがあちこちから見つかります。そうした数多の活動のなかから、今回は猿払村の地域おこし協力隊、山口さんと山田さんにお話を伺いました。
山口智代(やまぐち・ともよ)。2022年8月より猿払村地域おこし協力隊。北海道千歳市出身。SNS発信などの広報活動を中心に担当している。
山田久美子(やまだ・くみこ)。2022年7月より猿払村地域おこし協力隊。福岡県出身で、夫婦で移住し協力隊となる。イチゴ栽培における現場作業を中心に担当している。
北海道LikersライターFujie:猿払村の協力隊になられたきっかけは何ですか?
山口さん:私は、前職で6次産業をしている養鶏場の店舗管理・運営を任されていたのですが、自分が今後もずっとこの仕事をやり続けるとすると、そんなに面白くないかもなと漠然と思っていたんです。
そのときに、道北で“地域おこし協力隊として、イチゴの栽培に携わってくださいませんか”という募集案内を見つけました。販路を広げたり、SNSの発信をしたりといった仕事内容で、これは面白そうだなと思ったのが最初のきっかけですね。
募集案内を見つけたときは、まだ地域おこし協力隊がどういう制度なのかも、いまいちよくわかっていませんでした。自分でいろいろと調べていって、最長3年間その土地で暮らしながら生活に馴染んで、その後は起業する人もいれば就職する人もいる、そういう制度なんだとわかり、やってみたいなと思ってここまで来ました。
山田さん:私の場合は、もともと夫婦で移住したいという想いがありました。移住するにあたって、場所はどこがいいかを考えたときに、以前旅行で訪ねた北海道がいいよねと、お互い直感でしかありませんでしたが、共通認識だったんです。
場所が北海道と決まれば、次は仕事です。結果としてイチゴ栽培をしていますが、当初農家をするという考えは全くなかったんです。祖父母が九州で農家をしており、その大変さをすごく聞かされていたんですね。だから、絶対やりたくないと思っていました。
ただ、あるとき参加した移住フェアで、“イチゴ農家を夫婦でやってみませんか”という募集を見つけたんです。そこからイチゴがすごく気になり出して(笑) 絶対にやりたくないと思っていたことや自分の性格も踏まえて、相当時間をかけて情報を集め、確かめました。
そしていよいよ移住しようというタイミングで再び調べてみると、北海道内でイチゴに関する協力隊の募集をしていたのが、猿払だけだったんです。ほかの地域で地域おこし協力隊ではない形式での募集もあり、それも検討しました。でも、好奇心旺盛なタイプの私には、地域おこし協力隊が合っているんじゃないかということで猿払を選びました。