2024.03.07
深める郁音さん(28)もこうしたレッスンを通して「仲間とのコミュニケーションがとれるのが楽しい」と話します。
この日は、学校で行われる最後のリハーサル。
少しよろける場面もありましたが、学生たちが手をとってくれて無事に終了。
着替えが終わってからも、学生たちのウォーキングを真剣に見つめます。
学生たちには、衣装の直しなど厳しい指導が入ります。
この翌日。
なかなか歩調が合わない、郁音さん。
元パリコレモデルの髙木真理子先生が腕をとり、指導が入ります。
「ちゃんと前向いてね…にっこり!」
「障害があること」を理由に、諦めたりしないのが、先生のモットー。
「『障害があるからできないでしょ』ってこちら側が思って、教えるってなるとたぶん伝わる。『自分たちが期待されている』って思うと人って頑張る。『誰かのために役に立ちたい』って思うから」
厳しく見えるウォーキングの指導は、「できないことがある」という障害による制限を前提とするのではなく、「目標」に向かい、きっと“できる”ことを前提としてすすめていくから。
実は、障害をもつ生徒の保護者のなかには、「この子は〇〇ができない、〇〇もできない」とできないことを先に説明をすることもあるのだそう。
保護者が子どもを守りすぎて、子どもの「できる」可能性を、狭めてしまっているのではないか…。
先生はそんな風に感じ、手や声をかけすぎてしまう保護者に指摘することもあります。
また、ウォーキングレッスンは、歩くことだけではなく、身だしなみを整えたり挨拶をしっかりしたりすることにもつながります。
レッスンを通して、障害がある人たちが、社会でより活躍できる存在になってほしい、というねらいもあるといいます。
「できない」と思っていることが「できる」ようになる。
そんな姿を見てきた先生は、「1%でもできる可能性があるなら、信じる」。
だから、真剣に郁音さんたちに向き合います。
■学び舎にたった一人…だからこそ見つけた「将来の夢」地域に愛された最後の卒業生