2024.02.21

育む

子どもが受験に落ちた。親としてどう声をかける?今後の人生をつぶさない接し方

子どもの気持ちと自分の気持ちを混同していないか

一番そばで子どもを見ている親としては、受験の結果は他人事ではありません。子ども以上にがっくりしてしまってもおかしくありません。自分の気持ちが整理できないままに子どもに関わらなくてはいけないのが親の辛いところです。親だからといってすぐ気持ちが整理できるわけではありませんよね。
そういうときは、“自分は○○と感じている”ということをきちんと意識しておきましょう。自分の気持ちと子どもの気持ちは違うので、自分の気持ちを押し付けないようにしましょう。

無理に元気にふるまう必要はありません。「お母さんもがっかりしちゃった」と伝えてもいいのです。ただ、そのときに「あなたのせいなわけではない」ということも伝えましょう。子どもは自分のせいで親が落ち込んでいると自分を責めてしまいます。「あなたが悪いわけではない。あなたが行きたいと思っていた学校に行けないことはお母さんにとってもやっぱり悲しいの」という風にきちんと伝えておくことが大事です。

子どもの回復力を信じる、支える

受験に落ちてしまうという経験は辛いことで、親としてはできれば子どもには経験させたくないと考えると思います。でも、うまくいかなった後にどう回復するか、気持ちを整理していくかという課題を乗り越える機会であることも事実です。人の心が回復していく過程で大事なのは、“自分を信じてくれる存在”です。話したいときには話ができ、話したくないときにはそっとしておいてくれる存在。そういう風に見守ってあげることができるといいですね。

そのときに、もし可能であれば、「受験に失敗したからといって、親からの愛情に変わりはない」「受験に失敗したことであなた自身の存在価値は変わらない」ということが伝えられるといいと思います。無条件に自分を受け入れ、信じてくれる存在がそばにいてくれることで、子どもの心は回復し、そして成長します。

親自身のケアも忘れずに。子どもと一緒に辛さを超えましょう

人を信じるということは簡単なことではありません。子どもの失敗を「自分のせいではないか」と責める母親は少なくありません。でも振り返ってみてください。受験に向けて、あなたも子どもと同様に頑張ってきたはずです。あなた自身の疲れも癒してあげましょう。落ち込む時期、イライラする時期が親子ともにあっても大丈夫。「早く前を向かなくては」と焦る必要はありません。「お互いに頑張ってきたよね」とケアしあう時間も大事にしてください。そのうえで、一緒に辛さを味わって、乗り越えていけると信じあえるといいですね。

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文:竹原久美子(公認心理師/婦人科クリニック勤務)
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【ライター:竹原久美子 PROFILE】
中学時代、寄り添ってくれる人の大切さを感じ、心に寄り添う仕事につくことを決める。
「人生の始まる現場で学びたい」と産婦人科での実習を希望し、そのまま、産婦人科で女性の心に寄り添い続けてもうすぐ20年。
土地柄を肌で知っていることは心の理解にも役立つという想いで、地元札幌で臨床に携わり続けている。

【画像】IYO、ELUTAS、mits、takeuchi masato / PIXTA(ピクスタ)

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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