2023.10.29
暮らす草刈りから1週間後の夜。公園に地域の子どもたちが集まっていました。
毎年恒例の、花火大会です。
この公園は、夏休みのラジオ体操や花火大会を行う、地域の憩いの場。大人たちが花火を打ち上げるたびに、子どもたちが空を見上げ、「わあ!」という歓声を上げます。
子どもたちの笑い声と、その姿を見守る大人たちの微笑み…この日常を守るために、クマとの距離をどう保つのか。
クマ対策は、「どんなまちに住み続けたいか」ということでもあります。
「クマとまちづくり」をいち早く実践する南町7丁目町内会のあたたかさ。その行動はこの地域だけではなく、ほかの地域にも効果が及ぶかもしれません。
2019年、江別や北広島、札幌にまたがる「野幌森林公園」周辺でクマの目撃や農産物の被害が相次いでいたのですが、実はこのクマ、野幌森林公園で目撃が始まる1か月ほど前に、およそ20キロ離れた真駒内公園で目撃されたのと同じクマだったことがわかっています。駆除された後、真駒内公園に残されていたクマの毛とDNAが一致したのです。
自治体をまたいで無数に広がる「みどりの回廊」。ひとり一人が自分の地域の「まちづくり」を考えることが、北海道全体の安全につながっていくのかもしれません。
町内会長の久保さんは、「本当は行政が草刈りをしてくれたら嬉しい。危険が伴うので、住民に強制はできないし、毎年は難しいとも思っている。あくまで有志で、2年に一度くらいで、続けられればいいかな」とも話していました。
一方で札幌市は、人数や予算の都合で札幌市内のすべての場所を行政だけでやるのは難しく、地域や学生と一緒にやることでクマを意識してほしいという想いもあるとして、「ここにクマは入ってきてほしくないというラインを一番わかっているのは地域の方。札幌市と地域で話し合ってゾーンを考えていくのもこれから必要なのではないか」と話します。
町内会長と札幌市の話を下川さんに伝え、クマ対策は誰がやるべきだと思うか、聞いてみたところ、考えながらこう答えてくれました。