コロナ禍で人と会えない時期に、電話やメールで地元の人たちから情報を聞いて回ったことを、小田島さんはこう振り返る。
「お店の方に『函館空港にショップカードを置かせていただきたくて』と言うと、ほとんどが『え、空港? 嬉しいけど、なんで?』みたいな反応でした。それだけ空港って街の人からは遠い存在なんだなと実感しました。実際、以前は空港スタッフが個人的なオススメを紹介することはできなかったんですよ。
だけど、がっつり道南では、自分たちや地域の人による個人的なオススメをどんどん伝えていこうということになりました。そのお陰でスタッフ個々の趣味も強みとして活かせるようになって、お客さんとアニメの話で盛り上がるなんてこともあります」。
施設のコンセプトが一新されたということは、当然ながら仕事の内容も大きく変わってくる。そのことについて戸惑いや混乱はなかったのだろうか。
山縣さんに伺うと、「正直、大変ですね(笑)」と一言。
続けて「私は生まれも育ちも函館なんですけど、地域の方々から教えてもらった情報は初めて知るものが多くて。改めて函館って面白い街なんだなと思うようになりました。それに今までの仕事はほとんどが二次交通の案内で、そこにやりがいを見出すというのは難しいところもあったんですよね。
だけど、今は街の情報を積極的に集めたり、自分の好きな場所を紹介したり、到着時にご案内させていただいたお客様が帰りにも案内所に立ち寄ってお礼をしてくださることもあって。だから、大変だけど、仕事は楽しいです」と語ってくれた。
空港の案内所が変わることによって、そこで働くスタッフの方々の意識も変わり、地域との繋がりが深まっていく。そうやってがっつり道南には、より多彩でディープなローカル情報が集まっている。
街への玄関口である空港に地域と直結する案内所があることは、函館・道南エリアの楽しみ方を拡張し、地元に対しても新しい風を吹かせてくれるに違いない。
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『peeps hakodate』vol,117『「函館らしさ」を追いかけて。』より
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