それを象徴するのが『道南ビトカード』。地元の人たちがオススメするスポットと、そこでの過ごし方や食べるべきものなどが記載されたカードである。
グルメ、ネイチャー、カルチャー、ショップという4つのジャンルに分けられた全126種類のカードのなかから気になるものを選び、自分なりのガイドブックを作るという仕組みだ。
カードは単なる情報源だけでなく、店の人とのコミュニケーションツールにもなり、これをきっかけに旅行者と地元の人との接点が生まれるという役割も果たしている。
「ここのラーメン店では坦々麺を食べるべき」や「あそこに行くなら、この時期がオススメ」というように、ごくごく個人的で、バラエティに富んだ情報が掲載されているので地元通を自負する人間にとっても新しい発見が多い。
こうしたユニークな取り組みは、どのようにして作られたのだろう。立ち上げ段階から関わっている山縣未和美さんと小田島昌代さん(共に北海道エアポート株式会社函館空港事業所旅客サービス課主任)は、次のように話す。
「北海道内7空港一括民間委託や北海道エアポート株式会社との合併という変化を見据え、函館空港のことをしっかり自分事として考えていく人材を育成するための社内研修を行ったんです。そこで出たのが、玄関口における道南・函館地域の魅力を、空港職員自らが地域と繋がって発掘し、提供するために必要な環境を整備するということでした。
というのも、もともと函館空港にあった案内所では、次の目的地へ行くためのバスやタクシーの案内という二次交通のお問い合わせなどが9割で、観光案内の割合は1割しかなかったんです。このような背景から、函館空港を訪れるお客様に道南・函館のローカルな魅力を思う存分(=がっつり)感じていただける案内所を作ろうということになりました」
案内所のリニューアルにあたり、函館空港は人とローカルライフを繋ぐ架け橋となる事業を推進する『株式会社函館島』とタッグを組み、企画会議や合宿を実施。そこで出てきたアイデアをもとに、市場のように鮮度の高い情報が集まり、人と人との繋がりが感じられる“函館ローカルイチバ”というコンセプトが決定した。
これを体現するために案内スタッフの装いは制服からエプロンに変更。市民からそれぞれが思う街の色『函館カラー』を募集してオリジナルのカラーパレットを制作し、それらを内装の塗装に用いた。個々のお店にフォーカスするためにショップカードが集められ、道南ビトカードもオープン時には60種類ほどが揃えられた。
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