2023.09.27

暮らす

「自分の時間はほぼ無い。でも楽しい!」 北海道から世界へ繋がる仕事と、3人の子育てと。【ITで、もっと私らしく vol.4】

“私らしい暮らし”を実現するための選択肢として 「IT」業界の可能性に注目。多様なロールモデルを、札幌のIT業界で働く人々の取材を通して探っていく連載【ITで、もっと私らしく】

前回⇒「出産で辞めた例がない」「髪色やネイルも自由」さっぽろの老舗IT企業の社長がつくる、理想の職場とは

第4回目は、3人のお子さんを育てながら、”私らしくいられる仕事“を見つけ、イキイキと活躍されているエンジニアさんが登場!

札幌で、全世界の工場で使われるシステムの開発を手がけるDMG MORI Digital株式会社に勤める菊池沙知さんにお話をうかがいました。

DMG MORI Digital株式会社
世界シェアNo.1の工作機械メーカー・DMG森精機株式会社の100%子会社。自動車や航空機、通信機器などの金属部品を加工する機械に搭載するシステムやソフトウェアを開発する。ネットワーク接続やセンサ技術により全世界の工場で稼働する親会社の工作機械を管理するとともに、AIやDeep learnig(機械学習)を用いて情報を収集・評価、製造にフィードバックを図るなど、生産性の向上に貢献している。詳細は公式HPにて。

「自分の時間はほぼない。でも充実しています」

この日はインタビューのために出社いただきました!

時間を有効活用するためのテレワーク

— 菊池さんの普段の働き方を教えてください。

4歳の長男と、2歳の双子=次男と長女がいます。3人とも保育園に通わせていて、私は月〜金のうち1日だけ出社、その他はテレワークです。

— テレワークを選んでいる理由は?

昼休みに洗濯ができたり、食器を洗えたり、家事ができるので。独身時代と比べて、子どもがいる現在は時間がすごく貴重だと感じています。メイクや服選びといった身支度の時間をカットできるのも大きいです。

きっかけは、結婚直後の2017年に、夫が札幌から帯広に転勤したことでした。

当時、私は札幌に住んでいたのですが、同じ頃、テレワークを始めた同僚がいまして、上司から「菊池さんもテレワーク勤務にしてみたら?」と提案頂き、夫と一緒に帯広に住むことに決めました。働き方が柔軟に選べる会社でありがたいです。2022年に、札幌に戻ってきました。現在は会社から車で10分くらいのところに住んでいますが、引き続き、テレワーク中心の働き方をしています。

— 基本はテレワークで、出社は週1ということですが、出社のメリットも感じますか?

昼休みなどに「ママ会」ができるのが嬉しいです。最近はパパ参加者もいて、育児に関する情報交換をしたり、アドバイスをいただいたり、愚痴を言い合ったり(笑) 同じ保育園を利用していた先輩ママもいて、様々な情報を共有してもらっています。

— 相談できる先輩や同僚が周りに多くいるのは、心強いですね!

どうしても仕事が長引き「保育園にご迷惑をおかけしない範囲で」残業をすることもあるそう。

刺激的な新人時代と、自分に合った役割を見つけた現在。

— 業務はどのようなことを担当されていますか?

入社してから何年かはシステムエンジニアとして開発を担当していたのですが、現在はチームで開発した新しいソフトウェアを、工場に導入・設定してもらう上での手順書の作成や、工場とのスケジュール調整、リリースの手続きなど、管理系の業務を担当しています。プログラミングも好きだったのですが、こちらの方が向いているかなと感じています。

— どうしてですか?

SEの同僚は職人気質というか、コードに対するこだわりや美学を持っていて、こういう人が開発業務に向いているのだろうと、私は縁の下の力持ちとして彼らを支える役割が合っていると思ったんです。ソフトウェアをリリースするための手続きって結構多いのですが、開発者自身がやってしまうと手が進まなくなってしまうので、それを私が引き受けようと。

やりがいも感じています。設定の手順書を作成するには、ソフトウェアも工場の仕組みも理解しておく必要があります。工場には工作機械や周辺機器がたくさんあるので、手順は結構複雑。しかも設定を一つ変えると世界中の機械に影響を与えるので責任は重大で、ミスがないようきめ細かな注意力が求められます。工場から「ここがわかりにくい」という指摘を受けることもありますし、私自身でも「語弊や矛盾がないかな」「もっとこうした方がわかりやすいかな」と気配りや想像力を張り巡らせます。そうした責任や難しさがある分、無事にリリースできた時の達成感は大きいです。

私の経験で言うと、ITの分野では周りが見えなくなるほど開発に集中できる人、全体を見て気配りするのが得意な人、両方とも必要されているということを、ぜひお伝えしたいです。

月形町出身。幼い頃からゲームで遊んだりパソコンを使うのが好きで北大工学部に進み、当社へ。

— いろんな役割があって、自分に合ったポジションを見つけられるのが良いですね。また、世界規模の製品を開発するスケールの大きさも印象的です

新人の頃は、数週間の海外出張が頻繁にあって、すごく刺激的で楽しかったです!

私は主にドイツとイタリアに行きました。現地の工場で新機種を立ち上げたり、展示会の準備や市場調査をしたり、現地エンジニアとのコミュニケーションはすべて英語。貴重な経験でした。

— プログラミングと英語は、どの国でも役立つんですね! 逆に大変だったことはありますか?

昨年、担当している書類をもう少しでリリースしなきゃいけないというタイミングで、家族全員コロナに感染してしまった時は焦りました。やらなきゃと思いつつ、高熱には勝てず、心苦しくも他のメンバーに助けてもらいました。

ただ普段は、子どもが風邪で保育園を休んだら、私もお休みをいただきます。「お母さん、お母さん」と甘えられて、テレワークどころじゃなくなるので(笑)

男性も女性も育児をしている同僚が多く、みんなでフォローし合おうという姿勢があるので、気兼ねなく休めてありがたいです。

会社があるのは厚別区の札幌テクノパーク。窓から緑を眺めながら働けるのも魅力的。

楽しいから、もっと勉強したい!

— 今後、チャレンジしたいことはなんですか?

もっと自分の時間を増やせたら、情報系の資格を取得したいです。「ネットワークスペシャリスト※」が気になっています。ネットワーク関連の部署にいるので、もっと知りたいなと。テキストは買ったのですが、分厚くて覚える量がたくさん、手強くて合格できる自信はまだないですが、いつかチャレンジしてみたいです。 マネジメント系の勉強もいいかなと思っていて「プロジェクトマネージャー※」にも興味があります。意欲だけはかなりあります(笑)
※いずれも最難関に設定されている情報系国家資格

— お仕事されていて楽しいですか?

楽しいです!

— 即答ですね!

会社やチームに貢献できている手応えもありますし、みんなを支える今の役割で、これからも頑張っていきたいと思っています!

***

次回もテレワークで働くママさんエンジニアが、お二人登場予定です。お楽しみに!

共同企画:一般財団法人さっぽろ産業振興財団

文: にの瀬
編集:ナベ子(Sitakke編集部)
取材日:2023年8月

前回⇒「出産で辞めた例がない」「髪色やネイルも自由」さっぽろの老舗IT企業の社長がつくる、理想の職場とは

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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