2023.09.05
暮らす2030年度末の札幌延伸に向けて今、道内で新幹線の工事が進んでいます。
新幹線のとおりみち、北海道南部の長万部町は新幹線で、住民の命を守ろうとしています。
でも、あのマスコットに影響が…?!
連載「じぶんごとニュース」
長万部町といったら、何といっても…
「かにめし」!間違いないおいしさです。
駅弁から始まり、今や町内の7つの店がオリジナルの「かにめし」を販売する、マチの名物です。
長万部町は、目の前に広がる噴火湾から海の恩恵を受ける一方、町民には不安もあります。
津波です。
長万部町の市街地には、2階建ての住宅が並んでいます。
海から近いにもかかわらず、避難できそうな高い建物は見当たりません。
長万部町民は、「高い建物はここにはない、皆わかっている。駅からちょっと行けば山がある。高さ10メートル以上はあると思う。そこまで行くしかない」と話していました。
海岸線に沿って、市街地が広がる長万部町。
町役場の海抜は2メートルしかありません。
国や道の津波浸水想定では、線路から海側は津波にのまれてしまう可能性があります。
さらに、今ある線路がマチを分断し、避難路の確保を難しくしている事情があります。
この課題を解決するのが、新幹線の駅です。
新幹線は当初の計画では地上を走る予定でしたが、長万部町は高架にするよう要望。
その結果、新幹線の長万部駅のホームは高さ16メートル。
駅の建物は高さ28メートル前後と、建物9階の高さに匹敵します。
また、町の東西を繋ぐ通路も作り、避難路を確保します。
長万部町の木幡正志町長は、「長万部町の津波浸水マップは最大で6メートル70センチと出ている。今の駅の場所でだいたい海抜4メートルくらい。そうすると今の駅舎が水没してしまう」と話します。
さらに、長万部町は新幹線駅の近くに、3階建ての複合施設と広い駐車場を建設して、津波の際は、町民の避難場所にする計画です。
新幹線の長万部駅は、日本初の防災機能を持つ新幹線の駅になるのです。
木幡町長は、「いざというときに、マチの真ん中が避難所なら相当な人たちが逃げ込める。高架の駅も東西をつなぐ自由通路を使って避難できる」と話します。
その一方で、新たな課題も…。
かつて、毒舌で知られたマチのマスコット「まんべくん」です。
今は長万部駅の中に部屋がありますが、新幹線工事の区画整理で立ち退きを迫られそうなのです。
木幡町長は、「観光大使として一生懸命努力してくれているから、そこはわれわれも大切にしないといけないし、マチのマスコットとしてちゃんと守っていかないと」と話していました。
新幹線がつながれば長万部と札幌の間は最速35分。
建設を担う鉄道・運輸機構は、9月下旬から10月上旬に、新幹線長万部駅の3つのデザインを発表する予定です。
さらに道内には、こちらも日本初!「牧場の中の新幹線駅」も誕生する予定です。
観光の「穴場」でもあるマチの展望は、前回の記事でご紹介しています。
連載「じぶんごとニュース」
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部IKU
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2023年8月24日)の情報に基づきます。
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