オープンは1996(平成8)年の夏だが、そのルーツは1960年代までさかのぼる。
現オーナーシェフの平山憲さんの母・章子さんは、1968(昭和43)年に堀川町の亀田川沿いに純喫茶を開業。平山さんは中学時代から店を手伝うようになり、その頃から章子さんは息子を東京で名を馳せる洋食の名店へ連れて行き「本物の味」を伝えた。中でも銀座の『煉瓦亭』や浅草の『ヨシカミ』での洋食体験は平山少年に強烈なインパクトを与えた。
やがて料理人となって店を受け継ぎ、本格洋食店へとシフト。35歳のときに現店舗を新築で構えた。
「自分にとってのおふくろの味といえばカレーであり、ハンバーグであり、オムライス。洋食の料理人を志した原点はまさにそこで。自分が一番好きなものはなにか。その一点です」
開業当初から人気のオムデミライスを筆頭に、ハンバーグやメンチカツなどの看板料理は不動のラインナップ。ただし、時代や足繁く通う客の年齢に合わせて、厨房では試行錯誤と変化を繰り返す。
キノコがたっぷり入ったチキンライスをとろける卵で包み込み、じっくり煮詰めた特製デミグラスソースをかけて。
堀川町時代から提供されているこの料理。当時はオムライスをケチャップではなくデミグラスソースで提供する店はきわめて稀で、口コミで一躍人気に火がついた。
函館市柏木町39-3
0138-51-7881
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『peeps hakodate』vol,115・「90年代に生まれたあの店のロングセラー。」より
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