本場・福岡を手本に、北の大地に根付いた祭りがあります。
過疎の地域の人たちが伝統を守る姿を追いました。
かつて産炭地として栄えた、北海道芦別市。
街中に、祭りの威勢の良いかけ声が響きます。
祭りの名は「芦別健夏山笠」(あしべつけんかやまかさ)。
本場・福岡の博多祇園山笠から「兄弟山笠」として唯一、認められた祭りです。
炭鉱閉山が相次いだ、35年前。
マチの活気を戻そうと、地域の人たちが見よう見まねで始め、芦別市の夏の風物詩になりました。
当初から「山笠」に携わってきた野原清吉さん・62歳は、4つある「流」と呼ばれるチームの、リーダーのひとりです。
今年は、新型コロナの影響もあって4年ぶりの開催。
野原さんはようやく動かせる山笠に、胸を高鳴らせていました。
「もうみんな歳を取っちゃって、次につなげていきたい」
そう話す野原さんのそばに、若者の姿がありました。
村上敬介さん・20歳。芦別市で育った、専門学校生です。
迫力のある山笠を前に、「これを担ぐのかと思うと、すごいですね」と、話します。
そして7月15日、山笠の本番。
勇壮な祭りに、威勢のいい男たち…。
4年ぶりに芦別の街に山笠が復活しました。
村上さんも野原さんたちと一緒に、山笠を懸命に押しました。
「最高の思い出。みんなと出られてよかった」と達成感に満ちた村上さん。
若い世代に祭りを引き継いだ野原さんもまた4年ぶりの山笠に、「うれしかった」と充実した表情を見せました。
かつての産炭地に根付くこの祭りが、地域の世代をつなぐ絆を強めてくれます。
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2023年7月17日)の情報に基づきます。
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