2023.06.28
食べる昔のラベルを使った復刻版のお菓子はよく目にしますが、こちらは、さらに本格的です。
原料のマメを復活させる所から作ったようかんが、6月13日、発売されました。
丸い筒からにゅるっと押し出し、糸で切り分ける。
ご存知、五勝手屋本舗の丸缶ようかんです。
13日、北海道南部の江差町の本店で「創業の味」を再現した復刻版が発売されました。
五勝手屋本舗六代目・小笠原敏文社長は、「多くの人の力を借りながら、5年がかりでやっと豆が作れるまでになりました」と話します。
復刻版が店頭に並ぶまでには、原材料をめぐる5年の苦労がありました。
五勝手屋ようかんの原材料は昔から小豆ではなく「金時豆」で明治3年・1870年の創業から50年ほどは、地元で採れる「紅金時」という豆でした。
その後、病気に強い十勝産の「大正金時」に取って代わったことで、創業時の味だった「紅金時」の栽培が地元で途絶えてしまいました。
30年ほど前には先代の社長が「紅金時」の復活を試み挫折していましたが、実は、そのときの「紅金時」を、自宅用に作り続けていた農家がありました。
木下喜美さん、87歳です。
「好きなものは絶やさないで、食べたらやめられない。自分がおいしいと思うから誰にでも食べさせてあげたい」
木下さんは、手持ちの「紅金時」2キロを分けてくれました。
江差の活性化を目指す町内横断のグループ一×二×三業(いちにのさんぎょう)懇話会。
木下さんからもらった「紅金時」はグループを勇気づけ、今年は500キロを収穫するまでになりました。
一×二×三業懇話会の伊藤直樹さんは、「ようかんになるということで責任も感じますし、いいものを作らなければならない」と話します。
五勝手屋本舗・小笠原敏文社長は、「やっぱり皆さんの力があったからこそできた豆、ようかんだと思っています。何よりも江差でとれたものを江差で作りたい。江差が好きだから」と話していました。
13日、江差町では来年用の「紅金時」の種も、まかれました。
栽培面積は今、130ヘクタールまでに拡大。
マチ興しにまいた種はこの先、どんな実をつけていくのでしょうか。
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部IKU
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2023年6月13日)の情報に基づきます。
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