HBCテレビ「今日ドキッ!」の「ザ・ロングセラー愛されるにはワケがある」コーナーでは、北海道で50年以上続くお店にスポットをあて、愛されている理由を探ります。
今回は災難を乗り越え、今でも愛され続けている「豚丼の老舗」に注目しました。
豚丼といえば帯広の名物グルメ!
厚切り肉を甘辛ダレにくぐらせ香ばしく焼くのが十勝式です。
諸説ありますが、発祥は1930年代、養豚業が盛んな帯広で高価なうなぎの代わりに豚肉をかば焼き風にしたのが始まりとされています。
帯広というイメージが強い豚丼ですが、札幌にも知る人ぞ知る老舗があります。
市電、東本願寺前に店を構える「豚丼まむろ」。
昭和45年創業、半世紀以上の歴史があります。
住所:札幌市南7条西6丁目 すすきのビル1階
電話:011-511-6256
営業時間:午前11時~午後8時 ※食材が無くなり次第終了
定休日:月曜日
帯広のご当地グルメがなぜ札幌で愛され続けているのでしょうか…?
厨房では2人の職人さんが腕を振るっていました。 創業間もないころから厳しい師弟関係で仕事を続けてきました。 師匠の熊谷さんは80歳になっても現役で豚丼を作ります。
いまでは親子みたいな感じ。阿吽の呼吸と言います。
上田さんが弟子入りした15歳のころの写真です。
後ろの壁に注目して下さい、豚丼ではなく天ぷらのメニューが書かれています。
一体これは…?
帯広での修行経験を活かし、熊谷さんは昭和45年すすきの に自分のお店をオープンさせました。
メニューには豚丼もありましたが、当時は天ぷらがメインのお店でした。
しかし札幌ではまだ豚丼が知られていなかったため
思い切って豚丼専門店にしてみては、と考えたそうです。
2000年代になると、雑誌やテレビで帯広の豚丼が特集され始め「帯広ご当地グルメ」として広く認知されるようになりました。
すると…札幌の「まむろ」でも豚丼が人気に!
お昼から深夜まで営業するほど大忙し!
創業当時から継ぎ足し続けてきたタレは、替えのきかない味わいです。
師匠と弟子だけが知る秘密の製法で味を守り抜いてきました。
しかし…!
平成26年11月。
深夜の営業を終えた熊谷さんは自宅で寝ていました。
すると、1本の電話が…ビルの大家さんからでした。
まむろが入るプリンス会館で火災が発生!
ビルは火に包まれていて中は真っ黒だったと言いいます。
現場に駆け付けた熊谷さんのご家族が焼け跡から長年たくさんのお客さんがくぐった暖簾を見つけました。
色あせてしまった暖簾…
今も大事に保管しています。
創業以来、継ぎ足し続けてきた秘伝のタレは消失していました。
しかし!
自宅に予備のタレを保管していました。
不測の事態に備え、常に危機管理を怠らないことも職人魂。
半年後、今の場所に移転して営業を再開しました。
仕事に関しては徹底しており、原材料の質は落としていないのだそう。
絶妙な厚さ3ミリの生豚ロース肉をたっぷりと時間をかけて、1枚1枚丁寧に焼きます。
濃いめの味付けで深みがあり、タレにまとったお肉が香ばしく、ご飯が進みます。
愛され続けている理由はその「変わらぬ味」と丁寧な仕事で積み重ねてきた「お客さんとの信頼関係」。
皆さんからの「おいしい」という声が仕事の励みになるとおっしゃっていました。
※掲載の内容は番組放送時(2023年6月5日)の情報に基づきます。