札幌駅直結の商業施設「paseo(パセオ)」が、今月いっぱいで営業を終了します。
誕生から32年。
買い物や待ち合わせ、食事の場として親しまれてきたパセオ。
その歴史を振り返るとともに、街ゆく人にパセオでの懐かしい記憶を伺いました。
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パセオがオープンしたのは、バブル景気に沸いた1990年の11月。
札幌駅高架下の商業施設としてグランドオープン!
最新のファッションが揃い、飲食店も軒を連ねる新たなショッピングゾーンとして話題になりました。
ちなみに、パセオの名前の由来はスペイン語で「散歩道」という意味なんです。
そして2011年には、パセオは長年使ってきたロゴを一新して、最大規模のリニューアルをしました。
現在のパセオのテナント数はおよそ180軒。
時代の流行にあわせてテナントが入れ替わるなか、32年前のオープンから、ずっと営業し続けている居酒屋さんがあります。
パセオウエスト地下一階にある「魚河岸 甚平」。
新鮮な海鮮料理が評判です。
創業は1972年。
パセオが出来る前の「札幌駅名店街」時代から続く50年の老舗です。
しかし、今回の営業終了をきっかけに、移転をせず、お店を畳むことにしました。
お店の古川さんは「“移転なし”を教えると、涙ぐむ常連さんがいる。泣かれるとこっちが泣きそうになって、うれしいな…と思う。ありがたいし、愛されているんだと、最近ますます思う」と話します。
そもそも、32年間愛され続けてきたパセオは今回、なぜ営業を終了するのでしょうか。
それには、2030年度末の開業を目指している、北海道新幹線 札幌駅の工事が深く関わっています。
電車が通る高架橋の下に位置しているパセオ。
新たに作られる新幹線の高架橋や耐震補強の工事により、パセオの空調や電気など主要設備の撤去が必要となったのです。
営業終了まであと1か月。
見慣れた、この風景も見納めです。
パセオにどんな思い出があるか、街ゆく人に聞いてみました。
こちらの20代の女性は、「結婚指輪を作ったのがパセオ」だといいます。
購入したのは「プロポーズ」というブライダルジュエリー店で、購入者限定で指輪の磨き直しを無料サービスしています。
旦那さんと一緒にパセオを訪れた際は年に1回程度お店で磨き直してもらっているといい、「寂しくなる」と話していました。
こちらの70代の女性は、パセオの元従業員!
「そばとお酒 八雲」というおそば屋さんで、60歳になるまで17年ほど働いていたそう。
取材した日、一緒にいたご友人も、おそば屋さんで一緒に働いていた仲間。
働いていたときもよく一緒に旅行へいっていたそうで、「(本州に)夜汽車で行ったのがいい思い出」と振り返ります。
今もこうして昔の仲間で集まっているといい、パセオは大切な場所になっているようです。
お客さんもお店の方も、思いは様々でした。
パセオの営業終了まであと1か月。
皆さんも、思い出を振り返りながらお出かけしてみてはいかがでしょうか。
※掲載の内容は番組放送時(2022年9月1日)の情報に基づきます。
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