視聴者からの疑問や悩みを調査するHBC報道部の「もんすけ調査隊」。こんな疑問が寄せられました。
どーなっつが好きさん(30代・男性)
「みんな大好きドーナツ。なぜ穴が開いてるのでしょう?そして、ドーナツの穴は誰が食べてるのか?知りたいです」
なぜ、ドーナツには穴が開いているのか!?調査開始!
札幌の円山で人気のドーナツ店「ディーバイエム、ダヴィデドーナツ」。どのドーナツを見ても、やはり穴が開いていますが…くり抜くのではなく、手作業で棒状にして、輪にして作っているといいます。穴の部分の「余る生地」はありません。
ではなぜ、その穴を開けているのか?
それは、火を通りやすくするためだといいます。
穴を開けると、穴の部分からも均等に熱が伝わるため、火の通りがよいのだそう。
しかし穴がない場合、外側からしか熱が伝わらないので、火を通すに時間がかかるのだといいます。
本当に、穴があると火が通りやすくなるのか?札幌スイーツ&カフェ専門学校の学生さんに協力してもらい、試してみました。
穴の開いた型と穴の開いていない型に生地を流し込み、それを同じ時間だけ、オーブンで焼いてみます。180℃で焼くこと12分・・・
果たして、火の通り方が、どれだけ違うというのか!?
本当に火の通り方に違いはあるのか?講師に判定してもらったところ、穴が開いている方は、しっかりとキレイに焼けている一方で、穴がない方は、生地が生っぽくて全然焼けていない状態でした。講師は、「食べると食中毒になる可能性とかもあります。おそらくあと10分くらいは必要かなと」と話します。
見た目からも、同じ時間だけ焼いているにも関わらず、穴がある方は完全に火が通っていますが、穴がない方は、明らかに生焼けであることがわかります。
今度は、焼くのではなく、同じ時間だけ油で揚げる実験をしてみました。
やはり油で揚げてみても、穴のないドーナツは生焼け状態。
実験に協力してくれた学生は、「穴が開いているのと開いていないのだけで、こんなに違うんだと驚いている」「こんなにも焼く時間に差が出るのは驚きだし、私も初めて知った」と話していました。
でも、穴のないドーナツもあるじゃないかって?
札幌市内に5店舗を展開する「ふわもち邸」。左の「きなこ」のドーナツには穴がありますが、中央の「豆乳きなこ」のドーナツには穴がありません!火の通りは大丈夫なのでしょうか?
ふわもち邸では、中までしっかり火が通りやすくするために、小さいサイズにしているといいます。
穴のある「ごまあんこ」と、穴のない「きなこ」を比べてみると、確かに穴のないドーナツは小さいです。
さらに揚げ時間も、穴のあるドーナツが1分半なのに対し、穴のないドーナツは、およそ2分と、時間を長くして揚げているのだという。
ちなみに、ふわもち邸では、ドーナツの穴の部分はどう作っているかというと…
生地を丸めて、箸で小さい穴を開けて、その穴を、手で大きく円状に伸ばしていくといいます。そうすることで、真ん中の生地のロスは出ないのです。
というわけで「ドーナツの穴は火の通りを良くするため!」と結論づけたいところですが…
『失われたドーナツの穴を求めて』の著者、椙山(すぎやま)女学園大学の芝垣准教授に聞きました。
芝垣准教授によると、「1800年代後半に船乗りのハンソン・グレゴリーが、ドーナツの穴を最初に開けたことになっている。1941年に世界ドーナツ大会っていうのがアメリカで開催されていまして、そこで決議されたことになっています」といいます。
1941年と言えば、第二次世界大戦の真っただ中。アメリカのニューヨークでは、誰がドーナツに穴を開けたのか?熱い激論が交わされていたのです。
芝垣准教授は、「彼は船乗りだったんですけども、手にドーナツを持っていたのでは、舵がきれないから、舵から出ている木の棒にドーナツを、ぐしゅっと刺したことによって穴が最初に開いたんだ、とか…実家でお母さんがドーナツを作ってるときに、真ん中が生焼けで困っていたら、穴を開けちゃえばいいんじゃないのってくり抜いたんだとか…そういったストーリーがドーナツ会議では、全部比べられた」と話します。
ほかにも、アメリカ先住民が弓矢を放ったら家の中にあったケーキに刺さって穴が開いたとか、元々クルミが乗ったお菓子だったものが、クルミが手に入りづらくなったので穴を開けたなど、実に様々な説があり、いまだ、その結論は出ていないのだそう…
ドーナツの穴には、無限の可能性が秘められていたのです。
芝垣准教授は、ドーナツ研究者にとって、『ドーナツの穴だけを残して食べる方法』も、永遠のテーマだとも話していました。
文:HBC報道部もんすけ調査隊
編集:Sitakke編集部IKU
※情報は番組放送時の情報に基づきます