2025.07.19

深める

「自分は男性」と思いながらも妊娠・出産 3人の子どもを生んだ今、家族の姿から伝えたいこと

4年間の取材で、感じた変化

みぃくんやじゅったんを通わせている保育園などでは、これまでの放送で2人のことを知っていた保育士や保護者から、応援の声をかけられることもあるといいます。

「応援してくれるまわりの人たちがいるから、自分たちの暮らしも成立できている。周りの人への感謝も忘れずに育てていきたいし、これから子どもがほしいと思うLGBTQの当事者も自信をもって踏み出してほしい」と、ちかさんはまっすぐに答えてくれました。

真夏を訪れを感じる陽気だったこの日。かつてまだ子どもが生まれる前だった、きみちゃんとちかさん2人を取材した公園を訪れました。

みぃくんは草むらを走り回り、シロツメクサの花を摘んで私にプレゼントしてくれました。カメラマンと音声マンには、落ちていたきれいな石を手渡します。

4年前は2人で座ったベンチも、いまは家族4人で。

実はこの日は、報道部からの異動が決まっていたわたしにとって、「記者」として一旦最後の取材でした。
取材が本格的に始まった4年前からこの日まで、心無い批判に傷つく2人や、大切な家族を失い悲しむ2人を目の当たりにし、記者として何を伝えられるか、伝えるべきか、悩んだこともたくさんありました。

きみちゃんは今回の取材の中で、何度も「いまがとても幸せ」と答えてくれました。
少しでも2人の人生にとって、自分の取材や放送、そしてそれを見て2人を応援してくれた多くの人からの応援がエールとなり、またそのひとり一人にとって、「自分らしく生きていい」と思える勇気の輪ができていたのならば…本当によかった、と願います。

結婚前から初めての妊娠・出産、そして家族の姿を追ったこの4年間の取材は、連載「忘れないよ、ありがとう」でお伝えしています。

文:HBC報道部・泉優紀子
札幌生まれの札幌育ち。記者歴7年。道政・市政を担当しながら、教育・福祉・医療に関心を持ち、取材。大学院時代の研究テーマは「長期入院児に付き添う家族の生活」。自分の足で出向き、出会った人たちの声を聞き、考えたことをまとめる仕事に魅力を感じ、記者を志す。居合道5段。

編集:Sitakke編集部IKU

※掲載の内容は取材時(2025年6月)の情報に基づきます

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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