2025.07.19

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「こころが男性どうし」のふうふと、3人の子ども 悩みながらも進んできた、家族の日々

忘れない、第1子のこと

きみちゃんは、性同一性障害との診断を受け、一度は性別適合手術を受けようと決めていました。

戸籍の性別を変えるため、子宮と卵巣もとる予定でしたが、ちかさんと出会い、考えが変わりました。
「(子宮と卵巣を)とってしまったら、(子どもをもつ)可能性はゼロになる」

戸籍は女性のまま、ちかさんと法律婚をして、自分たちの子どもを産む道を選びました。

4年前、きみちゃんのおなかには、ちかさんとの間に新しい命が宿っていました。

「希望にあふれた子に育ち、人を希望に導けるようになってほしい」という想いをこめ、子どもの名前は「羅希(らき)」と決めていました。

しかし、2021年12月28日。きみちゃんはちかさんが立ち会う中で、羅希ちゃんを死産しました。その前の日の検診で、羅希ちゃんの心臓が止まっていることがわかったのです。担当の医師によると、死産は1%ほどの確率で起こる決して珍しくないことで、原因がわからないことが多いといいます。

きみちゃんは、羅希ちゃんとのお別れの前に、手紙を書いていました。

「羅希へ
ぼくたちの間にきてくれてありがとう。うまれてくるのをたくさんの人たちとともにまっていたんだよ。また天国で会おうね。大切で大好きな羅希ちゃん!忘れないよ!!ありがとう!!」

2人はインターネット上で、「ただの変態カップル」「申し訳ないけど気持ち悪い」などの心無い言葉も浴びました。それでもきみちゃんは、こう話していました。

「世間から、父親と母親っていう概念がどうとか、子どもがいじめられるとか、かわいそうって言われてた。そんなことない、そんなことさせない、そうじゃないっていうところを、ちかさんと見せていきたいと思っていた」

その後の、2023年1月3日にはみぃくんが誕生。そのとき2人は、みぃくんを「ぼくたちの2人目の子ども」と紹介していました。羅希ちゃんは2人にとって、大切な1人目の子どもであり、今後もずっとみぃくんとじゅったんのお姉ちゃんなのです。

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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