2025.07.01

暮らす

「北海道の夏は涼しい」はもう過去の話?実は、寒い地域ほど温暖化が進みやすい!そのわけを気象予報士が解説

真夏日が8倍に!?

温暖化が進むと夏の暑さも当然厳しくなります。

追加的な温暖化対策を取らなかった場合、最高気温が30度以上となる**「真夏日」が大幅に増える**と予想されています。

例えば、石狩地方では20世紀末の真夏日の日数は平年で4日ほどでしたが、今世紀末にはおよそ8倍となる年間32日にまで増える見込みです。

石狩地方と同じ日本海側の地域では新潟が平年の真夏日日数が36日なので、将来的に北海道が北陸くらいの気候に変わってしまうかもしれません。

ちなみに、新潟では2018年に観測史上最高となる39.9度まで上がるなど、2000年頃から最高気温が35度以上の「猛暑日」が毎年のように観測されています。

北海道で最高気温が40度超え…なんてことも将来的にはありえない話ではないのです。

2023年8月23日の記録的な猛暑についてのHBCニュースより。札幌では2023年に観測史上最高となる36.3度を記録し、熱中症による緊急搬送が過去最高に。危険な暑さが将来的には当たり前に…?

一方で、冬の寒さにも変化が見られます。一日の最高気温が0度未満となる真冬日の日数は石狩地方で20世紀末時点では1シーズンあたり平均58日に対し、将来的におよそ10日程度まで減少する見込みです。

2024年12月1日のスキー場オープンについてのHBCニュースより

去年は思うように雪が積もらず、各地でスキー場のオープンが遅れました。
冬でも日中、プラスの気温となる日が多くなれば、スキー場のオープンがさらに遅れ、北海道ならではのサラサラな雪「パウダースノー」は貴重なものとなるかもしれませんね。

まとめ

地球温暖化は北海道の風景や季節感に少しずつですが、確実に変化をもたらします。

その結果、今までには考えられなかった極端な暑さや大雪、大雨などの気象災害だけではなく、北海道が誇る一次産業への影響や水不足など、生活をする上で欠かせないところにも影響が出るかもしれません。

これまでの話は**「追加的な温暖化対策を取らなかった場合」**のシミュレーションに基づいたものです。

こうした未来の可能性があることをまずは知ることが、急激な温暖化を防ぐための第一歩になると思います。

次回は北海道の太平洋側と海の温暖化に注目して、将来的にどのような影響が出るかを一緒に見ていきましょう。
海水温の変化は、気温ほど変化を感じにくいことではありますが、台風の発達など今後の北海道にも深く関わってくる大切な要因です。

ぜひ、次回も読みに来てくださいね。

連載「気象予報士コラム・お天気を味方に
特別企画:地球温暖化と北海道の話~「日本の気候変動2025」を紐解く~

文: HBCウェザーセンター 気象予報士 篠田勇弥
札幌生まれ札幌育ちの気象予報士、防災士、熱中症予防指導員。 気温など気象に関する記録を調べるのが得意。 趣味はドライブ。一日で数百キロ運転することもしばしば。
HBCウェザーセンターのインスタグラムでも、予報士のゆる~い日常も見られますよ。

※掲載の情報は記事執筆時(2025年5月)の情報に基づきます

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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