2025.05.12
育む札幌市内に松ぼっくりが紙幣として使えるユニークなお店があります。
目指すのは、地域の子どもたちの居場所づくりです。
連載「じぶんごとニュース」
札幌市白石区にある大人の雰囲気が漂うバーです。
一見、普通のバーに見えますが、店の入り口には懐かしい駄菓子が並びます。
オープンから1年。
日中には、小銭を握りしめた子どもたちが駄菓子目当てにやって来ます。
ここは駄菓子バー『Nameless』です。
会計を済ませると、コーラを飲んで、ほっとひと息。店には笑い声があふれます。
店を切り盛りするのは、松田裕輝さんと松田さんの兄弟、合わせて5人です。
母子家庭で育ち、複雑な家庭環境や経済的な苦労から少年時代には非行に走ったこともあったといいます。
「自分がそういう経験をしてきて、子どもたちとコミュニケーションを取ることで、少年犯罪を減らしていければ良いと思ってコミュニティの場を作ろうと思った」
自身の経験から子どもの居場所を作る必要があると考え、駄菓子バーを始めました。
「子どもたちは元気ですね。すごい元気で、やんちゃな目の奥に寂しさを感じつつも…」
お店では、こんな取り組みも。
近所で拾った松ぼっくりを5つ集めて店に持ち込むと「ぼっくり紙幣」がもらえ、「1ぼっくり」で好きな駄菓子1つと交換することができます。
集められた松ぼっくりは、松田さんたちが線香や固形燃料の商品開発に役立てています。
この日は、1年で松ぼっくりを200個以上集めた子どもが表彰されました。
「寂しい子どもたちを減らしていこう。いいコミュニケーションをとれるお兄さんたちでいたいなって」
通う子どもたちの中には「大人になったらここで飲みます」なんて話してくれる子も。
たとえお金がなくても、松ぼっくりと駄菓子を交換してくれる駄菓子バー。
子どもたちが気軽に立ち寄れる「居場所」になっています。
連載「じぶんごとニュース」
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2025年4月29日)の情報に基づきます。