2024年の春。ゆきさんの姿は母子生活支援施設にありました。
夫のDVから逃げたり、予期せぬ妊娠などで夫がいなかったり…
事情のある親子が暮らす施設です。
ゆきさんが生活している施設は、20世帯の親子が入所できる独立した個室と、子どもが遊べる共用スペースなどを備えています。
施設の職員が、緊急時の子どもの預かりや育児のサポートなどもしてくれます。
ここも「リリア」と同じように、“困り感”を抱える女性たちの居場所です。
ゆきさん親子もこの場所にいることで、社会的に孤立した状態から免れることができました。
赤ちゃんは、1歳の誕生日を迎えました。
毎日、ミルクの量や回数など書きためた日記はこの日で一区切り。
見返してみると、生まれたばかりのころはミルクの回数も多く、「大変なこともあったなあ」と、ゆきさんはしみじみ思い出していました。
ハイハイして、笑って、立って…我が子の成長を喜ぶゆきさん。
その一方で…。
ゆきさんは、子育ての一番の手本となる「母親」に頼れません。
赤ちゃんが泣いているときも、風邪をひいたときも、すべて手探りです。
「『子どもが好きだから』『赤ちゃんがかわいいから』と思っていたけど、それだけじゃやっていけないって身に染みて感じたかな」
見えにくい困難とも、ずっと闘っていました。
■「おおきくなったら何になる?」6歳こうちゃんついに卒園…走り続けた子育てを我が子のふとした言葉で立ち止まった日【室谷香菜子のいっくじ日記#13】