2025.03.27
暮らす必要最小限のナレーションは、監督である幾島さん本人が読んでいます。
取材した本人にしかわからない、さまざまな思いが言葉に宿っているのでしょう。
幾島さんが発するひとことひとことが、耳だけでなく、“胸に届く”言葉になっています。
映画の中では、さまざまな立場の人(役場職員・住民・ハンターなど)が登場します。見ている私たちは、その都度、角度を変えて物事を考えてみることになるかもしれません。
それは基本的には“人間の目線”。
しかし、人間に囲まれてもキョトンとしているクマの表情を見たとき、ほんの一瞬、私は“クマの目線”になっていました。
それは単純に“かわいそう”という気持ちではなく、なんとも言えない感情で、胸がザワザワしました……。気付くと涙が浮かんでいました。
そんなふうに、75分ほどの上映時間の中で「悲しみ・憤り・やるせなさ・安堵・疑念」と、さまざまな感情が入り乱れ、心が忙しく動きました。
私は2児の母でもあります。家族を守るために何ができるか。
例えば身近なところでは、動物園でヒグマをみたときに「大きいね!すごいね!」だけで終わらせず、何かひとつでも子どもに情報を伝えることも、親としてできることかもしれません。
予測不可能な自然災害が起こる世の中で、防災意識が高まる今。クマ対策も防災対策のひとつとして意識していこうと思います。
最後になりますが、エンドロールは秀逸です。 あのエンドを観ながら、あなたは何を感じるのでしょうか。