2025.03.27
暮らすアナウンサーは、映像に最終的に息を吹き込む、ナレーションをつける仕事。
こう思って普段仕事をしています。
しかし『劇場版 クマと民主主義』を見て、今回ばかりは、ナレーションがいらない“映像の力”を目の当たりにしてしまいました。
映像の力。これは、クマの迫力ある映像はもちろんのこと、自然・町の風景・人々の表情、全てにおいて言えます。
テレビ番組だといわゆる“尺”の余裕がないので、次から次へと話が進んでいきますが、映画では無音の余白が意味を成します。
風の音、虫の声、鳥のさえずり。
水の流れる音、葉をかき分けるガサガサッという音。
“環境音”が活きていて、まるで自分もその場にいるかのような感覚になるのです。
わざわざ「春」「夕方」など季節や時間帯をナレーションで説明しなくとも、画面に映る“植物”や“人々の装い”や“日の光”を見るだけで、その理解もできてしまいます。
映画館にいるのを忘れるくらい、五感が研ぎ澄まされるような感覚があります。