地元客:「これうちではちょっと出せない味だね。いいダシ出てますよ。」
地元客:「このダシだけ売ってほしいわ。」
お客さんたちが口々にしたダシのうまさ。
そのダシの秘密を教えてもらうために、ちょっとだけ厨房にお邪魔させていただきました
三代目 漆谷匡俊さん:「(ダシは)かつおの本節と、ソーダカツオと、さば(節)のスペシャルミックス。すっきり透明なダシを取るには、灰汁をよく抜く。」
漆谷さんは若いころ、東京銀座のレストランで修行。 料理のいろはを学び、小樽へと戻ります。
そして、三代目として美園を継ぎました。
美園は創業した大正から昭和にかけては、丼ものやカレーなどを出す大衆食堂でした。
その、美園の人気メニューの中のひとつにあったのが、鍋焼きうどんだったのです。
当時、鍋焼きうどんは15銭でした。
その後、時代は進み、美園は食堂を閉めます。
当時から大人気だったアイスクリーム一本で商売していくことにしたのです。
そんな中で、アイスクリームの販売が落ち着く冬の間、お客さんの間からも「何か温かいものが食べたい」という声が聞こえ始めます。
そこで、当時「まかない料理」として出していた鍋焼きうどんを、客に提供すると、いつしかそれが冬の人気メニューとなっていったのです。
女性客:「めちゃくちゃおいしかったです。麺がつるつるで、おつゆもおいしかったです。お麩にもおつゆがしみてて。」
三代目 漆谷匡俊さん:「具はやっぱり天ぷらですね、かまぼこ、ねぎ、しいたけ、たけのこ、お麩、卵、ほうれん草、そういう感じのもの10品入ってます」
三代目 漆谷匡俊さん:「寒いときにお腹もあったまる、心もあったまる、小さい子から年配者まで食べられる。寒い時期に食べてもらえる鍋焼きうどんが最適だったってことですよね、結果的にね」
女性客:「鍋焼きうどんは寒い時だね。」
女性客:「これ食べるしょ?食べたら今度ね、アイス食べて帰るの。」
アツアツの鍋焼きうどんを食べたあとの、デザートとしても大人気なのが、この大正時代から続く美園のアイスクリーム。 北海道で初めてアイスクリームを製造・販売したという歴史のある一品です。