2025.01.21
暮らす2025年1月、札幌・釧路・網走の高校生が、北海道大学に集まりました。
それぞれの学校で半年ほどかけて野生動物について研究し、その成果を持ち寄ったのです。
「私たちの高校の敷地内では、多いときには7頭のエゾシカが休んでいます」
シカと自分たちの暮らしの身近さから発表を始めたのは、北海道釧路湖陵高校です。
自然豊かな釧路には、日本最大の「釧路湿原」があります。特別天然記念物のタンチョウなど、動植物の貴重な生息地です。ラムサール条約登録湿地で、国立公園に指定されています。
生徒たちは、釧路湿原に繰り返し訪れたり、過去のデータを調べたりするうちに、ある異変に目をつけました。
それは地表性昆虫(オサムシ・ゴミムシなど)が減っていること。同時に、周辺でシカに食べられた葉などをよく見かけるようになりました。
そこで、シカの増加が、昆虫の減少の原因なのでは…と仮説を立て、調べ始めます。
そもそも、なぜ地表性昆虫が減ることに問題意識を持ったのか、発表後に生徒の一人に聞いてみました。
すると、「釧路湿原の生態系を守りたい、環境を守りたいから」だと言います。
「地元にこんなに偉大な風景があるんだから…」と目を輝かせます。
釧路湿原が好きなのかと聞くと、「好きです!」と即答。
彼らのデータを示しながらの発表はとっても本格的で、聞いた大人たちも「高校生ってこんなに学術的に調べるのか!度肝を抜かれた…」などと驚いていました。
データは一年以内にとりきれるものではなく、シカと昆虫の相関関係はまだ断言できないことも明らかにしました。こうした「どこまでははっきりしていて、どこからは憶測なのか」も整理して発表したことが、パネリストとして参加した北海道大学の研究者からも評価されていました。
その上で、シカの増加が生態系に悪影響を及ぼすならば、「湿原のシカへの捕獲などの干渉は権利的に難しい。でも自治体などを巻き込んで、食肉加工などの対策をする必要があるのでは」と提言しました。
地域を愛する気持ちが原点になった、釧路の高校生だからこその研究。
続いて発表した北海道網走南ケ丘高校の視点も、高校生ならではでした。