2024.10.13

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こころが男性、妊娠して病院を訪れたら… どこからが「区別」か「差別」か【忘れないよ、ありがとう②】

「僕」の妊娠に向き合う、若手医師と病院の挑戦

病院にとっても、手探りの挑戦でした。

「心が男性の人であれば妊娠は希望しないはずだと思っていた。FtM(女性のからだで生まれたが、男性として生きることを望む人)の人が妊娠したというのはどういうことなんだろうと…。身構える感じはあった」

新開医師にとっては、トランスジェンダーの当事者と接するのも初めて。先行症例を調べても、道内の例は見当たらなかったといいます。

新開医師は、女性ならではのからだの変化に、きみちゃんが「違和感がないかなというのは慎重に聞き取りを行った」といいます。病院のスタッフ全体が、きみちゃんを 「お母さん」とは呼ばず、名字で呼ぶように徹底するなど、きみちゃんの気持ちを尊重しようとしていました。

しかし、すぐには結論が出せない課題もありました。「ほかの妊婦への配慮」との両立です。

出産などのために妊婦が入院する病棟は、女性専用に作られています。そして妊婦の異変にすぐに気が付けるように、病棟内は見通しのいい構造になっていて、体調など特別な理由がない限り、大部屋に入ることがほとんどです。

そうした妊婦のこころとからだに配慮した構造が、きみちゃんにとっては、「男性用トイレがない」「ほかの妊婦の視線が気になる」など、過ごしにくい理由になってしまうのではないかと、新開医師は考えていました。

「ほかの妊婦さんたちにとっても、髪型や服装など自己表現が男性のきみちゃんと、同じ病室や病棟で大丈夫かは検討する必要がある」と話し、きみちゃんを含めどの妊婦にとっても安心して過ごせる環境を作るためにどうしたらいいか、真剣に悩んでいる様子でした。

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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